撮影日記


2004年01月16日(金) 天気:曇

祇園にイオン

下祇園という駅

JR西日本は,昨年11月末日をもって,可部線の非電化区間(可部−三段峡)の運行を終了した。一方,電化区間(横川−可部)は,広島市北部の主要な交通機関としての役目を持ち続けてることになる。
 可部線電化区間の駅は,現在の終点である「可部」駅を除くと,1線のみ,あるいは,2線あって交換ができるのみの,小規模な駅ばかりである。沿線は住宅が密集しており,駅も狭いところに作られている印象を受けるような路線である。ところが,「下祇園」駅だけは,少しようすが違う。島式ホーム1面2線のほかに,保線車両を留置している引込み線があり,さらに,もう1本,引込み線が取れるだけのスペースもある。これは,かつてこの駅が貨物の取り扱いをしていた名残であると聞く。
 「下祇園」駅の西側には,1939年に操業を開始した大規模な三菱の工場があった。そして,かつてはその工場への引込み線も存在していた。これが,「下祇園」駅だけが,少しようすが異なることの理由のようである。

工場跡地

「下祇園」駅西側の工場は,2003年10月01日で閉鎖された。合理化の1つとして,滋賀県の工場に集約されることになったためである。現在,各地で,このような工場の移転が起きており,そのたびに,大規模な遊休地が出現することになる。
 そのような跡地には,大規模なショッピングセンターが進出することが多いようだ。小売業界も,大規模店舗での効率化を考えているのであろう。また,マイカーに頼るライフスタイルが定着しつつある現在,十分な広さの駐車場を確保することが,小売業者にとっては,重要な課題にもなっているようである。広い土地が確保できれば,マイカーの受け入れも十分に可能となるからである。
 「下祇園」駅西側の工場跡地のある,広島市安佐南区祇園地区は,住宅地やマンションが多くある人口密集地である。また,安佐南区の人口は,いまだ増加傾向にあるという。商業施設としても,魅力的な状況にあると言える。また,広島市内中心部からも数kmという近さにあり,可部線の「下祇園」駅も近いという,かなりの好条件と思われる。

消費者にとっては好都合かも

この工場跡地に,どこの商業施設が出展するのか,これまでいろいろなウワサや動きがあったようだが,1月15日付けの報道は,イオン(ジャスコなどを運営)がこの跡地へ出店することで,三菱との合意に達したと伝えていた。
 現在,「下祇園」駅の近くには,昭和40年代には西日本最大規模であったと言われる,イズミゆめタウンという大規模なショッピングセンターがある。また,小規模なスーパーマーケットも数件そんざいする。そういう地区に,さらに大規模なショッピングセンターが進出してくるのである。それらは互いに存亡をかけて,さまざまな競争がおこなわれるのであろうか。そういう競争は,消費者にとっては,都合のよい状態が訪れることが期待できる。
 しかし,問題点も指摘されている。それは,その工場跡地周辺の道路の整備が完了していないことである。道路の拡幅工事が,それぞれ南北から進んでいるのだが,広島市の財政上の都合などから,完成は4〜5年先とみられていることである。また,「下祇園」駅の駅舎は,線路をはさんでその工場跡地の反対側にあり,距離も少々ある。このあたりを含めて,駅周辺の区画整理などをおこなわなければ,さまざまな弊害があらわれるように思われる。


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