撮影日記


2003年11月13日(木) 天気:晴

コンパクトカメラと
ディジタルカメラ

ニコン,コンパクトカメラから撤退

11月13日の日本経済新聞は,ニコンがコンパクトカメラの国内販売から撤退することを伝えていた。近年,コンパクトカメラの国内での販売数が激減しているとのことである。ニコンがコンパクトカメラ市場に参入したのは,1983年であり,もっとも遅い部類に属する。
 最初のモデルは「ピカイチ」といい,ちょっとぶっとんだ感じのネーミングも話題になったようだ。当時,3群4枚構成のレンズが主流だった全自動コンパクトカメラに,4群5枚構成のレンズを搭載してみたり,F3以来の「赤いライン」をボディ前面に入れてみたりするなど,ニコンの意地を見せていたような気もする。
 その後,耐水深3mの防水カメラ「ピカイチカリブ」(1986年),高性能な28mmレンズを搭載した超小型カメラ「AF600(ニコンミニ)」(1993年),手ぶれ補正機構を搭載した「ズーム700VR」(1994年)などの特徴的なカメラも発売された。

コンパクトディジタルカメラ

コンパクトカメラの販売数が減少している理由の1つに,ディジタルカメラの普及があげられている。ディジタルカメラのメリットはなんであろうか。次のような要因が考えられる。

  • カメラ本体に液晶ディスプレイが内蔵されており,撮影した画像をその場で見ることが可能なである。
  • フィルム代が必要ない。
  • パーソナルコンピュータに画像データを転送して,画像を加工したり,コンピュータネットワークを通じてデータをやりとりすることも容易になる。
  • 撮影した画像をすぐに確認できるメリットは大きい。一部には,露出の確認ができるメリットを主張する人もあるが,それは結局,露出計の形態が変わっただけのことであり,大きな問題ではない。そうではなく,すぐに画像を見ることができることで,その場におけるコミュニケーションの拡大が可能であることに,ディジタルカメラの人気の秘密がある。宴会などの席で,ポラロイドカメラを使ったことのある方なら,これは大いに実感していただけるであろう。
     フィルム代が必要ないというメリットも大きい。ところで,ディジタルカメラは本当にランニングコストが低いのだろうか?たとえば,次のような計算ができるだろう。


    フィルムカメラの場合
     36枚撮りフィルム 安売りで1本あたり200円
     0円同時プリントサービス 私がよく利用するところで1本498円
     プリント1枚あたりのコスト=(200+498)/36=19.39円

    一方,いわゆる「デジカメプリント」サービスが,1枚20円以下のお店は,まだまだ少ない。プリント1枚あたりのコストは,フィルムの方がはるかに有利なのである。しかも,ディジタルカメラの製品寿命は短い。カメラの消却期間を考えれば,ディジタルカメラのコストは,もっともっと高いものになる。
     ここで,「安売りフィルムや0円プリントのクォリティは低い。」という反論が出るかもしれない。しかし,35mm判フィルムよりも高画質なディジタルカメラを使っている人が,今,この世に何人いるというのだ?また,ディジタルカメラはフィルム代がかからないからと,フィルムを使っていたころよりも積極的にシャッターを切っている人もいるだろう。少なくとも,コンパクトカメラを使う場面においては,ディジタルカメラは高くつくのである。

    カメラ機能付き携帯電話

    とくにコンパクトディジタルカメラを使う場合,画質については大きな問題ではないことが多い。それは大伸ばしをする機会が少ないからだと言っていいだろう。一方,コンパクトディジタルカメラに対する不満として,バッテリーの問題をよく聞く。いざ使おうと思ったときに,バッテリーが切れていることがあると,非常に大きな不満を感じるようである。
     最近,携帯電話にカメラ機能が内蔵されているものが増えてきた。いまや,200万画素,ズームレンズ,オートフォーカス機構などもついてきて,廉価版のコンパクトディジタルカメラ並みのものになっている。そして,携帯電話を使う人にとっては,携帯電話は常に充電しておく習慣をもっているのである。つねに携帯することが可能で,充電もしてあるとなれば,コンパクトディジタルカメラは,携帯電話に内蔵されたカメラ機能にほぼとって代わられてもおかしくはない。
     ディジタルカメラは,フィルムを使うという制約がないために,さまざまな形態の製品が登場している。最終的にどういう形に落ち着くのか,考えてみるのもおもしろいだろう。


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