撮影日記


2003年09月20日(土) 天気:曇

著作権

写真利用規定

突然ではあるが,私が公開しているウェブサイト上の写真について,「利用規定」というものを明示することにした。簡単にいえば「無断使用は禁止」(使用するときは,事前に許可をとること),「出典を表示する」,「使用料金が必要」という内容である。「使用料金が必要」とは言っても,これでお金儲けをしようという発想があるわけではない。自分が撮った写真を,勝手にあちこちで濫用されないために制限を明示したというだけのことである。
 本来,著作物は著作権法により,著作者の権利が守られている。そのため,このようなことを明示する必要はないのだが,実際に各所で「写真盗用」などの事例があることを目にする限り,こういうことをはっきりと書いておかなければ「わからない人」がいるようである。
 著作権および著作権法については,文化庁のウェブサイトなどで詳細にわかりやすく解説されているので,各自しっかりと勉強していただきたい。

勝手な解釈

著作権について,勝手な解釈をする人もあるようだ。典型的な例が「非営利目的で個人的に使用するから関係ない」とするものである。この誤解(勝手な解釈)はどこに由来するのであろうか。
 まず,著作権法30条「私的使用のための複製」という条文がある。21条「複製権」では,著作物を複製する権利は著作者が「専有」するとなっているが,30条では私的使用目的においては「複製権」は制限される(複製してもよい)となっている。ここで気をつける必要があるのは「私的使用」の内容と,許されることは「複製」だけであるという点である。たとえば,他人の著作物を複製するところまではよいとしても,これを何らかの方法で再配布すれば,それは私的使用の目的を越えたものであり,WWWに公開すれば,やはり著作者がもつ「公衆送信権」(これも著作権者が専有する)を侵害することになる。このあたりが「個人的使用だから関係ない」と誤解する原因と思われる。
 また,「非営利目的であれば関係ない」とする誤解はどこから来ているのだろうか。これは, 38条の「営利を目的としない上演等」が原因ではないだろうか。

写真盗用事件

今回,「写真利用規定」を明示することに踏み切ったのは,比較的身近なところで「写真盗用事件」が起きたためである。友人Aがウェブサイト上で公開していた写真が,遠く離れた地方の人Bに,盗用されたのである。BはWWW上に,個人のギャラリーを公開していたが,そこにおいて,Aの撮影した写真を,Bが自分で撮影したものとして公開していたのである。そして,その被害者はAだけではなかったことや,Bは一度ならず二度(もしかするとそれ以上・・・?)も事件を起こしたことから,この問題はかなり大きいものになっていく兆候もあった(現在,表面的には終息しているようである)。
 後に,関係者から事情を聞く機会があった。このBの近くには,いわゆる「パソコン教室」の関係者Cが存在している。Cは,Bは初心者であり決して悪気はなかったことを説明していた。一方,Cによれば,Cが関係するパソコン教室でも,著作権についてはきちんと指導しているとのことである。ただ,Cの対応を見る限り,C自身が実は著作権の重要さについてよくわかっていないのではないか,という気がした。そして,そういう人が関係するパソコン教室で,ほんとうにきちんと著作権の説明がされているのか,個人的には少々疑問を残している。
 かつてパーソナルコンピュータは,「難しくて使えない」と考える人が多かった。そして,購入しても,「何に使えばよいのかわからない」とする人が多かったとされる。そこで,いわゆる「パソコン教室」は,「コンピュータはどうやって使うか」ではなく「コンピュータではなにができるか」を主に教えるようになったのではないかと想像する。そうであれば,たとえば「インターネットに接続すると,いろいろな写真も見ることができる」「この写真はこうやればコピーして保存することができる」という教え方をするであろう。また,「ホームページの作り方」というコースも,多くのパソコン教室で見られる。このとき,各教室がきちんと著作権について説明したいとしても,受講者は難しい講義よりは,楽しい実習をしたいと考えるだろう。そして,結果としてこういう事件が起こったように,著作権について十分な理解をさせることができないということにつながりかねない。
 そもそも「ホームページ作り方」という名称のコースがあれば,そのこと自体,そのパソコン教室の「程度が知れる」というものである(用語くらい,きちんと教えてほしいものだ)。


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