撮影日記


2003年08月27日(水) 天気:曇時々晴

可部線存続問題に思う(3)

代替バス運行計画案承認

報道によれば,可部線代替交通確保調整協議会は2003年8月25日に会合を開き,可部線廃止に伴う代替バスの運行計画案を承認したという。これによって,今年11月末日の可部線(可部−三段峡)の廃止の翌日から,広島電鉄および広島交通による代替バスの運行がはじまり,沿線地区での生活のための交通手段が確保されることになるという。
 この会合において,沿線の5つの市町村は,「JR西日本から廃線敷の一括無償譲渡を受けたい」との意向を示し,JR西日本もそれに応じる方向だとのことである。
 沿線市町村には,廃線敷をどのように活用していく計画があるのだろうか?

鉄道として存続させるのか?

廃線敷の利用方法として,まずは,「(時間的に11月末には間に合わないが,できるだけ早期に)第3セクターなどの新しい事業体により,廃止された区間の鉄道の運行をおこなう」ことが計画されているものと期待したい。その場合,譲渡を受けることになるものは,敷地だけでなく,レールや信号,駅舎などの地上設備もすべて含んだものが予定されることになるだろう。「一括」という言葉は,それを意味しているのだろうか?
 ところで,廃止対象区間のうち,可部と加計の間は,崖にへばりつくように走る区間も多く,全体的に老朽化も進んでいるという。最近は,列車の速度を抑えることなどで,保守を徹底的に合理化できるようにしていることもあり,実際にはそのまま利用することは困難ではないかと想像できる。本気で,鉄道の運行を再開するなら,しばらく全面的に「休止」してでも,徹底的に改良をおこなう必要があるだろう。そうすることで,到達速度の面でも改善をはかることもできるだろうし,必要があれば駅や交換設備の新設なども検討できる。
 あるいは,全区間の運転再開は見送って,まずは部分的な運行を目指すことも考えられないだろうか。具体的に考えられるものとしては,広島市が継続して検討するという可部−河戸の区間の電化延伸や,高速バスとの連携で観光鉄道化の可能性が見込める上殿−三段峡の区間に限定したものがある。沿線の5つの市町村のうち,湯来町が可部線存続に対して比較的熱が低いというウワサも耳にするので,こういう両端部のみの運行も可能性としてはあると思う。

どんな計画が用意されているのだろうか

可部−河戸の区間は第二次世界大戦以前に開業した古いものだが平坦な場所を走っているし,上殿−三段峡の区間は比較的開業が新しく老朽化が進んでいないと考えられるので,これらの区間の維持は,他の区間の維持にくらべれば容易な面があるだろう。しかし,両端部に分断された状態では,広島市という都市と,三段峡という一級の観光地を結ぶという役割を果たすことはできない。また,先に中国新聞に連載されていた提言にあったような,通勤区域の拡大という面では,中途半端な結果しか得られないであろう。
 可部線の廃止対象区間に割と近いところに,それなりの住宅団地が存在することは事実である。しかし,そこの人口が今後,大幅に増える見込みがあるかといえば,それは現状では大いに疑問である。もっと広島市中心部に近いところで住宅がどんどん開発されている(そして,売れ残っていたりする)状況では,そんな遠いところに住もうという発想は,決して出てこないのである。
 とはいえ,将来を考えた場合,ふたたび,それらの地域に注目が集まる可能性がないとはいえない。その日のために,鉄道を復活できるように敷地を確保しておくことは,1つの選択肢かもしれない。だが,その維持は容易ではないと想像する。この区間には鉄橋やトンネルが多く,放置すれば崩壊などの危険が存在する。また,宇品線の跡地を見れば想像できるように,放置された長細い土地は,そのままではなんの意味ももたなかったりする場合もある。

さて,譲渡を希望している沿線自治体は,どのような計画を描いているのであろうか・・・・?


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