撮影日記


2003年07月01日(火) 天気:雨

大判カメラ事始め2 (2)

クイックロールスライダーの落とし穴

以前から,モノレールタイプのカメラは欲しかったが,とくに「トヨビュー」のシリーズを入手したいと考えていた。それは,少し前に,ジャンク扱いで,トヨビューでマミヤプレスのロールフィルムホルダを使うことのできる「クイックロールスライダー」という部品を入手していたからである。入手したときは,使わない木製組立暗箱に無理やり固定して使おうとも考えていたが,「トヨビュー」が格安で入手できるとなっては,話は別である。
 6月29日は,津浪駅に寄った後に筒賀神社へ向かった。そこで,大イチョウを被写体に,6×9判で,極端にアオリを効かせた撮影を実験してみたかったのである。さて,筒賀神社には,誰もいない。この時期に,ここを訪れる人は,やはり少ないのであろう。多くの人は,この時期だから,アジサイの名所のようなところへでも出かけているのだろうか,などと考えながら,「トヨビュー45C」をセットした。210mmレンズを使い,クイックロールスライダーもセットし,大イチョウの根元から並んででている「芽」を狙う。ここで,大きくフロントをフォールしティルトをかけて1本の「芽」にピントを合わせた。しかも,蛇腹はよく伸びる。「マミヤユニバーサルプレス」では撮影が困難な近接撮影である(「マミヤユニバーサルプレス」で250mmレンズを使った場合の最短撮影距離は2.5mである)。
 ここで,マミヤプレス用6×9判の「3型」ホルダを取り出し,クイックロールスライダーにセットした・・・・が,できない。出発前に室内で試したときは,問題なくセットできたはずなのに,なぜか取り付けができないのである。よく考えてみれば,室内で試したときは「2型」ホルダを使っていたのだった。「3型」ホルダは,シャッターレリーズボタンが内蔵された分,少しでっぱっており,そのために取り付けができないのである。

マミヤプレスは小型カメラ

残念なことに,この日は,クイックロールスライダーを使った撮影はできなかった。ただ,この季節に筒賀神社を訪れることは少ないので,素直に「マミヤユニバーサルプレス」でいろいろと撮っておくことにした。「トヨビュー45C」でいろいろと遊んだ直後だけに,「マミヤユニバーサルプレス」が,非常に小型なカメラに感じられる。これを自分で使い始めて,もう何年になるだろうか。慣れないうちは,操作ミスをしやすいといわれているカメラだが,個人的にはもう,撮影のリズムのようなものができていると感じられる。
 撮影中,筒賀神社の神主さんが出てこられた。
 「この時期,いい絵が撮れますか?」
 「この時期に撮ったことがないので・・・・」
 という短い会話があっただけで,ほかに訪れる人も,ほとんどなかった。こういう静かな場所で写真を撮るのは,やはりいいものだ。

ふたたび津浪駅へ

この後,予定通り,井仁の棚田に寄ってみた。しかし,ここでも6×9判でアオリを効かせた撮影を考えていたため,撮る気が起きない。また,周辺の果樹などに農薬を散布していた気配もあり,この日は長居をしないことにした。
 安野と水内の間にある鉄橋を渡る可部線列車を撮影後,ふたたび津浪駅に寄った。朝,アジサイを絡めた構図を作れなかったので,もう一度,なにか考えてみようと思ったのである。そして,ピンク色のアジサイを大きく前ボケにして,その中から黄色い可部線の列車が出てくるような構図ができないものかと考えた。そうなると,望遠レンズを使いたい。結局,そこで選んだカメラは,「マミヤユニバーサルプレス」と250mm望遠レンズであった。やはり,中判カメラは,機動性と高画質を両立できるカメラである。などと思うことにして,シャッターを切った。
 ところで,6×9判の250mmレンズは,35mm判では107mm相当である。このときは,もう少し長いレンズが欲しいと感じた。マミヤプレス用のレンズは250mmがもっとも長いレンズである。こういうときこそ,トヨビューとクイックロールスライダーの出番だろうか。ああ,300mmや400mmレンズも欲しくなってくる(笑)。


← 前のページ もくじ 次のページ →