撮影日記


2003年06月29日(日) 天気:曇時々晴

大判カメラ事始め2 (1)

大判カメラの互換性

5,6月は,仕事が詰まっていたり,長期の出張があったりして,ゆっくりと写真を撮りに行く時間がほとんどとれなかった。今日はようやく1日中空けられるようになったので,先週,格安で入手した「トヨビュー45C」の試運転も兼ねて,出かけることにした。
 「トヨビュー45C」は,モノレールタイプの大判カメラである。モノレールタイプのカメラは,大きくいくつかの部品に分けて考えることができる。その中でも,レンズボード,蛇腹,バックアダプタ,オプチカルベンチ(レール)は,他の機種との互換性が高い。その機種を特徴付けるものは,フロントとリアのスタンダードと呼ばれる部分だけといえる。実際,購入した「トヨビュー45C」のセットは,オプチカルベンチやバックアダプタなどが本来のセットとは異なる部品で構成されていた。ただ,スタンダードの部分は「トヨビュー45C」だったので,これはあくまでも「トヨビュー45C」であるとする。
 入手したセットのなかには,リンホフ規格と呼ばれるレンズボードを使うためのアダプタも含まれていた。「タチハラフィルスタンド45」は,リンホフ規格のレンズボードに対応していたので,これまでに入手していたレンズは,すべてリンホフ規格のボードに取り付けてある。このように,ボディ側のメーカーが異なっても,レンズがそのまま使えたりするような互換性の高さが,大判カメラのメリットの1つであるといえるだろう。

久しぶりの可部線沿線

「トヨビュー45C」の重量は,カタログでは4.1kgということになっている(実際には,本来とは異なる部品が使われているので,多少の差はあるだろう)。これは,モノレールタイプのカメラとしては,軽量な方になるらしいが,これを三脚(スリック ザ・プロフェッショナル)に載せると,それだけで重量が10kgを越える。また,これまで使ってきたカメラバッグに収まるような,コンパクトなものでもない。このようなものを担いで,長距離を歩くだけの根性はないので,被写体のそばまでクルマで乗り付けられるような所へ行くことにした。
 そこで,まず「筒賀神社」に向かうことにした。ここなら,撮影場所のすぐそばまでクルマで行くことができる。そして,「井仁の棚田」を通って帰ればよいだろうと考えた。いつもよく通るルートであるが,普段は可部線田之尻駅のところから井仁へ寄り,それから筒賀神社に向かうことが多い。今日はいつもと逆の順になるため,田之尻駅を通らずにそのまま可部線沿いにクルマを走らせていく。津浪駅のそばまで来たとき,この駅をまだあまり撮っていなかったことを思い出し,少し寄ってみることにした。
 駅から少し離れたところにクルマを停め,三脚に載せた「トヨビュー45C」を運ぶが,これはやはり重く,運びにくい。これを収納できるケースなりバッグなりを入手しなければ,使いにくくてかなわない。さて,駅に着いてみると,線路の向こう側に少し,アジサイが植えられている。そのそばに寄って,これをどう扱おうか悩んでいるうちに,可部行きの列車が近づいてきたので,「トヨビュー45C」での撮影はあきらめることになった。

やはりアオリは使いやすい

その後,筒賀神社や井仁に寄ったが,そこでは「トヨビュー45C」を使う気になれなかった(これは後日,語ることになるだろう)。そして,再び可部線沿線に戻った。まず,安野まで戻って太田川を渡り,右岸の細い道を上流へ進んだ。そして,水内との中間あたりの鉄橋を眺められる位置に落ち着くことにした。
 三脚を立て,カメラを載せ,ピントグラスを覗いた。そして,ピントやアオリの調整をする。このような遠景の撮影であれば,極端なアオリは必要としない。しかし,フロントもリアも,アオリ操作がやりやすいので,しばらくいろいろとアオリを試して遊んでみた。210mmレンズを使うときは標準の蛇腹で十分だが,150mmレンズを使う場合に,十分にアオリをしようと思えば,袋蛇腹に交換した方が扱いやすいようだ。また,150mmレンズを使うときは25cmのオプチカルベンチで十分だが,210mmレンズを使うときにはさらに25cm延長した方が使いやすそうである。
 「タチハラフィルスタンド45」でも一通りのアオリはできるといえるが,フロントのライズ/フォールとスイング以外のアオリは,「とりあえずできる」というレベルの感じがする。また,そのアオリ量も決して大きくはない。とはいえ,野外での撮影には,その程度でも十分なケースがほとんどだろう。また,「タチハラフィルスタンド45」の場合,150mmレンズでも210mmレンズでも,そのままで十分に使いやすい。いわゆる標準系のレンズを使い,遠景の撮影が中心なら,モノレールタイプのカメラを持ち出す必要はないだろう。逆に,極端なアオリをしたり,広角レンズや望遠レンズを使う場合には,やはりモノレールタイプのカメラの方が,余裕があってよいということがいえるだろう。ああ,90mmや300mmレンズも欲しくなってくる(笑)。


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