撮影日記


2003年06月20日(金) 天気:くもり

コトバの乱れ

文化庁の公表

文化庁は,6月19日に,日本語に関する調査報告『平成14年度「国語に関する世論調査」の結果について』を公表した。これは,文化庁のウェブサイトで閲覧することができる。これには,「慣用句やカタカナ語の認知率・理解率・使用率」の調査も含まれている。いくつかの慣用句について,回答者のおよそ6割が,その意味を逆に理解しているなど,興味深い報告も多い。
 また,カタカナ語のうち,日常生活で耳にする機会の多いものについては高い理解率を示す一方で,ほんの数%の低い理解率を示す言葉もあった。理解率の低いカタカナ語については,白書などでの使用においては,日本語による置き換えを検討していくようである。
 報告では,このほか,読書に関する意識や,いわゆる「バイト語」などの誤った敬語的表現についての調査結果も含まれている。

ホームページ

この公表された報告について,新聞やラジオなど,各マスコミもいろいろな面から報道や評論をしていた。正しい言葉使いというのは,各マスコミとしても,気になるところがあるのだろう。
 ところで,理解度が高いとされていたカタカナ語の1つに,「ホームページ」というものがあった。新聞などを見ていると,この言葉の本来の意味として,「インターネットで情報を得られるページ」というものがあげられている。この「本来の意味」は,その新聞社が示したものか,文化庁が別に示したものなのかは,わからない。しかし,これが誤りであることは言うまでもない。
 「インターネットで情報を得られるページ」という意味ならば,それは「ウェブページ」と呼ぶ方が適している(さらにいうなら,「インターネットで」は,「インターネットのWWWで」とする方がよいだろう)。「ホームページ」は,一連の「ウェブページの集まり」において,その「入り口となるページ」のみを指すのである(さらに本来の意味は,ウェブブラウザを起動させたときに,最初に表示されるウェブページである)。ましてや,勝手に「ホムペ」だの「HP」などという略語を使って堂々としているのは,きわめて愚かなことである。

ということで,言葉は乱れていくのである

「ホームページ」については,実際に新聞の記事や,テレビ・ラジオのアナウンスに気をつけていると,もはや誤った意味としてしか使われていないと言っても過言ではないだろう。さらには,新聞で「HP」と略して表現されるのは,当然の状態である。悪貨が良貨を駆逐するが如くに,マスコミが言葉を乱していくのが現状である。そんなマスコミが,文化庁の報告を元に,言葉の乱れを語るのは,見ていて非常に愉快なことである。
 しかし,言葉は生きている。その本来の意味に固執するよりも,自由に変化していっても,かまわないだろう。。かつて,国際語を目指して作られた人工言語「ヴォラピュク」は,ある一定の成功を収めたが,言葉の自由な「進化」を拒んだことが普及の支障になり,現在では(そのような変化を拒まない)「エスペラント」だけが成功している状況にある。
 しかし,言葉が変化し,本来の意味とかけ離れていくとき,同じ言葉を使っていても,お互いの意思が通じない状況があらわれるかもしれない。だから,言葉の自由な変化は認めながらも,その本来の意味については,やはりきちんと理解しておくべきである。

余談

最近,「私はいわゆる『鉄』ではない。」という文章を,この日記に書いたが,これについてはきちんと次のように言い換えた方がいいかな?(笑)

「私は鉄道マニアではない。」(だから,その種の専門的?な話はできません。)


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