撮影日記


2003年03月10日(月) 天気:くもり

ニコンはライカ判サイズ撮像素子のディジタル一眼レフカメラを発売しないのか?

APS-Cサイズからライカ判サイズへ

最近,私の周囲でもレンズ交換式ディジタル一眼レフカメラを使う人が増えている。これは,従来の一眼レフカメラをそのままディジタルカメラにしたようなものであるといえばいいだろうか。ボディは既存の一眼レフカメラを利用して作られたと思われ,交換レンズは従来のものが利用できる。大量に撮影する人には,多少ボディが高価でも,フィルムや現像代がかからないところも魅力的なのではないだろうか。また,パーソナルコンピュータを利用して,自分で色を調整したり,トリミングしたりして,家庭用プリンタから出力できるという点に魅力を感じる人も多いだろう。
 これまで,このようなディジタル一眼レフカメラは,いわゆる「APS-Cサイズ」(ニコンD1Xのもので23.7×15.6mm)の撮像素子(CCDが多いようだ)を採用しているものが多くあった。かつて,購入を考えたこともある,FUJI Finepix S1 Proもそういうカメラである。最近になって,ライカ判サイズの撮像素子を搭載したカメラが,京セラやキヤノンから発表された。
 APS-Cサイズの撮像素子を使用したカメラを使う場合,もっとも問題になるのは広角レンズを使いたい場合である。ライカ判よりも狭いため,レンズの焦点距離はおよそ1.5倍相当になる。50mmレンズならば75mmレンズに,28mmレンズならばおよそ42mmレンズに相当するようになるわけだ。つまり,広角レンズの表現をしたければ,20mmレンズよりも焦点距離の短い,いわゆる超広角レンズを使用しなければならないことになる。

ニッコールの新製品

ニコンから,「AF-S DX Zoom Nikkor ED 12-24mm F4G (IF)」の発売が発表されている。焦点距離を見ると,いわゆる超広角ズームレンズである。しかし,これはD1シリーズおよびD100といった「ディジタルカメラ専用レンズ」とされている。詳細はわからないが,イメージサークルが35mm判フルサイズをカバーしていないのではないだろうかと想像できる。いま,京セラやキヤノンが,どんどんライカ判のカメラを発表しているなかで,あえて既存のAPS-Cサイズのカメラだけを対象にしたと思われる製品を発表したのはなぜだろうか。これについて,いろいろと想像してみた。
 1つの理由としては,これまでに発売されているD1シリーズのカメラを使い続ける人が少なくないと判断されたことが考えられる。そのための,それらのユーザがもつ,広角レンズへの対応の要望に答えた製品が,このレンズと言えるだろう。D1シリーズを使い続ける理由としては,画像処理の問題が想像できる。とくに業務で使用する場合は,RAWデータを処理することが多いようだ。RAWデータは,カメラの機種を変えると,色などのクセが大きく変わってしまうと聞く。ちょうど,フィルムを変えることと同じような問題があるということだ。そのため,徒に新機種に飛びつくユーザが少ないと考えられているのかもしれない。
 それに対して京セラやキヤノンは,おそらく一般のユーザにも幅広く目を向けているのだろうと想像できる。そのために,ライカ判サイズの撮像素子を採用したカメラの発表を急いだものと考えることができる。

Kodak DCS Pro 14n

製品に対する1つのイメージとして,ニコンD1シリーズは,報道特需的なモデルであるように思われる。これは,現行モデルD1XとD1Hが登場したときに感じたことでもある。旧来のD1に対して,画素数を増やすなどの改良を施したものがD1Xであり,画素数などは旧来のD1と同じで連写性能を改良したものがD1Hである。報道需要には画質はD1クラスで十分であり,画質よりも連写性能の方が重要であると判断したことは想像に難くない。画素数を増やすとデータ量が増大して,画像の伝送や処理に負荷が増すのも問題だろう。また,報道需要とくにスポーツ報道では,広角レンズよりも望遠レンズによる表現の機会が多いであろう。これも,あわててライカ判サイズの撮像素子をもつカメラ急いで発表しない理由の1つかもしれない。
 画質的には,ディジタル一眼レフカメラによる画像は,フィルムによる画像にはまったく追いついていない。しかし,すでに多くの一般的な用途には十分なレベルには達している。これが,現状ということだろう。
 ところで,昨秋にはコダックから「DCS Pro 14n」というモデルが発表されていた。これは,ニコンFマウントをもち,ライカ判サイズの撮像素子を採用したカメラである。最近になって,ついに日本でも正式に発表されたわけだが,世間での評判はどうだろう?ニコン自身がまだしばらく,ライカ判サイズの撮像素子を採用したカメラを発売しないなら,ニッコールレンズユーザにとって,これはたいへん魅力的なボディになるはずだ。


← 前のページ もくじ 次のページ →