撮影日記


2003年02月10日(月) 天気:晴れ

平日の早朝撮影

可部線プロジェクト

一昨年は,「可部線プロジェクト」と称して,可部線の写真を集中的に撮るようにしていた。最近はさほど集中的な行動はしていないが,撮りもらしているようなシーンを少しずつでも補おうと考えている。もっとも,よく鉄道雑誌に見られるような,乗客そのものを被写体にしたような写真(ポートレート撮影を車内や駅でおこなったようなものと言ってもいいだろうか?)には興味がない。
 写真というメディアは,そこにある事実を記録するものである。そして,記録した内容は,伝達することができる。これまで「可部線プロジェクト」において,通勤通学の利用者が存在することは,まだほとんど伝達していなかった。
 そのためには,平日の撮影活動が必要である。しかし,慢性的に多忙な状況では,なかなか平日に撮影をおこなう機会が得られない。

早朝ならば

ここで,1つ気がついたことがある。可部線を利用して,加計方面から広島市内方面に通勤している人は,少なからず存在する。つまり,朝,可部線の列車に乗れば,通勤通学に利用している人たちの存在をファインダーにとらえ,さらに自分自身も仕事に間に合うように「横川」に着くことが可能ということである。さっそく時刻表を確認してみると,「加計」を朝一番に発車する列車に乗れば,「可部」で乗り換えて,「横川」に8時20分ころに到着する。これなら十分に間に合う。
 問題は,どうやってその列車に乗ることができるか,である。前日から適当な駅のそばに宿泊を確保するという方法もあるだろう。しかし,そのような時間的余裕は持っていない。また,早朝に適当な駅までクルマで移動して,そこから列車に乗るという方法もある。この場合は,そこに丸1日,クルマを放置しておくことになり問題があるだろうし,正直,いつ取りに行けるかわからない(笑)。なお,クルマで行ってクルマで戻るという方法は使えない。朝の通勤時間帯だと,クルマよりも可部線を利用した方が早く確実に「横川」に着けるのである。これは,数年前に確認した。もっとも,毎朝通勤にクルマを使っている人は,早く着ける適切な抜け道を知っているのかもしれないし,もしかするとその後に開通した広島高速4号線を利用すれば早く着けるのかもしれない。しかし,可部線を利用した方が,到着時刻が確実なのである。
 結局,「横川」を朝一番の電車に乗って,「安芸亀山」まで行くことにした。そこで「加計」を朝一番に発車した列車を待ち,撮影し,それに乗って「横川」に戻ることにした。

朝の列車は

撮影場所として「安芸亀山」を選んだのは,なんといっても時間的都合が最大の理由である。「横川」を朝一番の可部行きに乗り,「可部」で可計行きに乗り換えるのだが,この加計行きは「安芸亀山」の2つ先の「安芸飯室」で,「加計」を朝一番に発車した列車とすれ違うのである。つまり,「安芸飯室」やその1つ手前の「毛木」では,列車を降りたらすぐに乗らねばならない状態となり,ややせわしない。また,「安芸亀山」の1つ手前の「今井田」では,この時間帯の写真を撮影したことがあり,さらに手前の「河戸」は,今回撮りたいイメージとは少し異なる(でも,ここもいつかは平日の朝のようすを撮っておきたい)。
 さて,7時過ぎに,加計行き列車から「安芸亀山」駅に降りた人は,私一人であった。かわりに,おばあさんが一人乗り込んで行ったが,駅にはほかにまだ誰もいない(このとき,そのおばあさんの家族と思われる人がやってきて,「今の列車におばあさんが乗りませんでしたか?」と尋ねられた。伝言かなにか,忘れものがあったのだろう。)。やがて,1人,2人と,人が集まってきた。最後は,15〜16人くらいになっただろうか。そして,7時32分,定刻どおりに可部行きの列車がやってきた。2両編成のディーゼルカーには,座席がほぼ埋まる程度の乗客がいた。
 さて,肝心の撮影の方だが,身軽に手持ちで撮影するために,ローライフレックスを使った。しかし,この時期,7時半ころではまだ,直接太陽の当たらない谷間は,手持ちで写真を撮るには暗いのであった。


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