撮影日記


2003年01月13日(月) 天気:くもり

可部線存廃問題に思う(9)

横川駅前の工事が進む

横川駅前の,路面電車の停留所が改装中である。現在は,終点とはいえまさに停留所だが,改装後は立派な屋根もつけられ,「駅」と呼びたくなりそうなものに変貌するようである。この改装に伴って,JR横川駅前に線路を引き込むようになるので,乗り換えが楽になることが期待されている。これに伴うように「CAZL横川」がオープンするなど,横川が賑わいはじめているのである。
 横川は,日本のバス発祥の地とされている。横川と可部の間を結んだバス路線が,日本で最初のものだと言われている。また,古くから横川は,太田川の舟運のターミナルでもあった。広島市街の交通の要衝地だったのである。
 路面電車は,乗り場の改良にともなって,従来の江波行きに加えて,広島港(宇品)行きが設定される。路面電車乗り場の改良は,かつての横川の地位を取り戻す起爆剤になるのかもしれない。

広島高速4号線

また,横川を通るバス路線も,非常に充実している。広島県北部方面への幹線道路である国道54号線が通っているのだから,あたりまえといえばあたりまえのことだ。さらに,市内線のバス路線も横川を起点とするものがある。
 広島高速4号線の開通後,広島バスセンターから高速4号線経由のバス路線が設定された。その一部が,横川駅に停まるようになっていたが,その便数はあまり多いものではなかった。その後,横川駅前のほか,横川新町,中広中学校,中広3丁目にも停車するようになった。そして,いつのまにか運転本数がかなり増えている。このバスは,よく人が乗っている。昼間でも,けっこう立っている人をみかける。乗客は,学生っぽい姿も見えるので,広島市立大学や修道大学の学生も,それなりに利用しているのかもしれない。
 高速4号線を通るバスの利用者が多く,しかも運転本数が増える傾向にあることは,アストラムラインの利用者数にもそれなりの影響を与えているのではないだろうか,と予想される。

問題点は電化区間にあり

速くて目的地に直通できる交通機関があれば,それなりの利用者は期待できるものである。可部線の利用者が減少傾向にある理由としては,やはりその所要時間が大きいことは無視できないだろう。横川と可部の間でも,道路がとくに混雑する時間帯でなければ,乗り場まで行く時間や,時間待ちなどを考慮すれば,可部線に所要時間における優位性はほとんどない状態である。これは,現在,廃止の対象にされている非電化区間ではなく,電化区間の問題である。
 可部線電化区間は,単線で,線路の設備なども弱く,高速運転のできないさまざまな要因がある。いわゆるバブル期に,沿線の人口は増加傾向にあったにも関わらず,必要な設備投資が十分ではなかったことで,可部線がこの地域の交通の主役となる機会を逸してしまったということができる。かつて,可部線の運転本数がさほど多くなかった30年前,広島と三段峡を直通する臨時の快速列車は,可部と広島の間を27分で結んでいた。現在,この区間の運転本数が激増したため,このような高速運転ができなくなってしまっているということだ。
 このときの快速列車は,可部と広島の間では,下祇園と横川にしか停車しなかった。単線のためのすれ違いに必要な時間をうまく短縮することと,途中の停車駅を十分に減らすことができれば,この区間の所要時間の短縮をはかることができる。もしそうするならば,可部と広島市内との速達を主目的とし,場合によってはノンストップというのも考えてよいだろう。大町におけるアストラムラインとの乗り換えなど,考慮しなくてよいと考える。


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