撮影日記


2002年11月17日(日) 天気:はれ

遠くの名所より,近くを探せ

紅葉シーズン,もう末期

紅葉の進行も,例年になく早いようだ。すでに,広島市内の街路樹なども,色とりどりに色づいている。三段峡や常清滝など,県北方面の紅葉は,先週見た限りではもう終わっているだろう。これからは,街の中の紅葉が見ごろである。
 そんなとき,個人的には天満川沿いの道がお気に入りだ。
 前の週に三段峡で撮り残したフィルムがマミヤプレスに残っているので,今日はマミヤプレスだけを持ってでかけてみた。小型のバッグに,マミヤプレス本体,ロールフィルムバック,100mm標準レンズ,50mm超広角レンズ,さらに冠布とレリーズ,フィルム数本を放り込んで,三脚はマスターを用意することにした。
 こうしてみると,マミヤプレスは,6×9判という大画面を手軽に扱えるすばらしいシステムであることを再認識する。

天満川沿いを歩いてみると

天満川沿いの道は,楠木町の方からところどころにベンチがあったりして,公園が延々と続いている様相である。広島市内には多数の川が流れているが,天満川の右岸が,歩きやすさ,あまり多くない人通り,街路樹の美しさなどのバランスがもっともよいと感じている。
 天気のよい午後,ときおり散歩する人とすれ違いながら,紅葉を眺めて右岸を歩いた。しばらく歩くと,1本のイチョウが目に入る。この1本だけ,周囲の木よりもやや高く葉も豊富で,ここ数年,ひそかなお気に入りである。
 午後の逆光条件を利用して,50mm超広角レンズで写してみた。ちょうど通りがかった犬が,木の下で逆光に輝いている(その犬を連れている人は,ちょうど陰になっていて目立たない・・・)。街の中の紅葉としては,まあ絵になる光景ではないだろうか。

きれいなものは,みんなが気になる

ふつう,紅葉の名所と言われるところには,多くの人が集まっている。そういう場所に集まる人は,写真を趣味にする人だけでも相当な人数になることがある。とくに写真を趣味にせず,単に美しい紅葉を眺めたいだけの人は,もっと多くが集まってくる。
 ところが,こういう街の中にポツンとある木には,それほど多くの人は集まらない。たしかに,一般的な「紅葉の絵」をここでつくることは困難だろう。だからこそ,あえてこれを写真に撮る価値があると思っているのだが・・・・。ともあれ,こういう場所なら,熾烈な場所取りなどとも無縁で,のんびりと撮影が楽しめるというものだ。
 一息ついていると,一眼レフカメラを持った女性が,やはりこの木を撮っている姿が目に入った。いつもこの木が「きれいだ」と思って気にはしていたそうである。私が三脚を立てて撮っているのを見て,慌ててカメラを用意して駆けつけてきたそうだ。やはり,きれいなものは,たくさんの人が気にして見ているようだ。


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