撮影日記


2001年05月03日(水) 天気:くもり

福井県立恐竜博物館

昨年,福井県勝山市に,「福井県立恐竜博物館」がオープンした。この付近には,手取層群と呼ばれる地層が広がっており,恐竜やその生活痕跡の化石が多数見つかっている。この博物館を訪れる機会を,ずっとうかがっていたものである。今回,連休を利用して,ようやく訪れる機会を得た。
 広島から福井まで,一気に行くのは,楽ではない。そこで,大阪の実家で1泊し,5月2日の早朝に出発することにした。6時に出発したが,それでも,阪神,名神,北陸の,各高速道路を経て,現地に到着したのは10時ころになった。連休の谷間の平日だということもあり,高速道路に渋滞は見られなかった。

博物館は,タマゴ型の異様な外見をしている。丘の上には,恐竜の頭骨を調べている?恐竜の人形が腰掛けている。彼?は,たいへんな人気者のようで,多くの人が,ここで記念写真を撮っていた。
 この博物館の入館料は,500円。中へ入ると,まずはエスカレータで一気に地下1階まで降りる(入り口は3階に当たる)。そこでは,発掘現場を再現してあり,順路に沿って,1階へあがる。
 1階は,「恐竜の世界」「地球の科学」というコーナーになっいる。「恐竜の世界」には,30体以上の骨格標本が展示されている。館内は,原則として禁煙で,撮影禁止であるが,ところどころに「撮影OKコーナー」があり,記念撮影もできるようになっている。その他に,説明や,いわゆる草食恐竜と肉食恐竜の闘いをマルチスクリーンで上映したものなど,CG技術もフルに活用されている。一方,「地球の科学」では,地質学の基本的な説明や各種岩石鉱物の標本もあり,かなり高度な内容も学習できるようになっている。特に,岩石標本では,CCDカメラによる,標本表面の拡大観察,コンピュータによる説明の他に,コンピュータによるシミュレーションの形式になっているが,偏光顕微鏡での観察もできるようになっている。恐竜の展示よりも,この岩石標本の方がおもしろいかもしれない。
 また,2階の展示は,「生命の歴史」がテーマであり,恐竜以外のさまざまな古生物(コノドントさえある)の標本が展示されている。

全体として,標本の質も高く,展示のテーマも適切でわかりやすい,たいへん優れた博物館であると言える。細かい注文をつけるなら,展示の説明文には,もう一工夫が必要かもしれない。説明文だけでは,十分な理解は難しいと思う。しかし,あえて簡略化したことで,「難しいことを読む」という負担を感じさせない,という工夫の跡も感じられる。なにせ,展示のボリュームが多く,朝10時から閉館の17時までかけても,駆け足で見ていった,という感じである。それなりに詳しい人と,いっしょに行って説明してもらいながら見学するのがいいかもしれない。

ともあれ,これだけの質の博物館に,たったの500円で入場できる地元の人は,幸せだろう。

福井は遠く感じたものであった。


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