撮影日記


2000年08月31日(木) 天気:はれのちくもり

ニコンF3様 生産終了

最近,京セラから,「N1」というシステムカメラが発表された。これは,将来,ディジタルカメラとしてのシステム展開も睨んでいるらしい。

さて,8月30日の「日本経済新聞」などでも報道されていたが,「ニコンF3」がついに製造中止を発表した。1980年3月から,20年以上生産されてきたが,あと,4000台で受注も打ち切り,その供給が完了した段階で生産中止になるという。なにせ古い電子制御カメラなので,半導体部品の供給もままならないらしい。補修部品の最低保有期間が,通産省の指導で決められているが,それも実際には厳しい状態なのだろうと想像する。
 すでに,一部マニアの間では,「最後の新品のF3」を入手しようとする動きがあるようで,店頭在庫もかなり少なくなっているらしい。

ところで,「日本経済新聞」の記事では,「自動化とディジタル化の流れの中で消えていく」という表現が使われていた。すでに,ニコンの一眼レフカメラの主力は,高度に自動化されたF5や,ディジタルカメラD1である。F3は,現行機種とはいえ,「クラシックカメラ」と表現してもいいような存在だった。
 長年,報道関係で活躍してきたF3であるが,現在の報道現場では,ディジタルカメラがかなりのウェートを占めていると耳にする。今,手元にある,「中日新聞」の会社案内を見ても,原稿はディジタルカメラとパーソナルコンピュータで現場から電送される,という表現が使われている。
 新聞の製作そのものがコンピュータ上でおこなわれているのだから,写真もすぐにコンピュータで処理できるディジタルカメラを利用することが有利なのは,当然といえる。また,速報性も重要な要素なので,通信回線1つあればどこからでも画像を送ることができるというディジタル化を,報道関係が積極的にとりいれないはずがない。

ニコンF5,ミノルタα9,キヤノンEOS−1Vと,各メーカーのフラッグシップ機が順次モデルチェンジし,京セラもN1で少し新しい方向を提示する形で,フラッグシップ機のモデルチェンジをおこなった。次世代の,各メーカーのフラッグシップ機は,フィルムとディジタルの兼用を目指すものになるものと想像できる。
 そうなると,ディジタルカメラに出遅れた感のある旭光学の動向が注目に値する。F3が生産終了を発表したのとは逆に,LXの限定バージョンを発表したのである。また,京セラのN1が登場したあとに,フィルムカメラのフラッグシップモデルを送りこんでくるだろうか?
 また,最近,35mm一眼レフ市場で元気のない,オリンパスの動きも注目したい。オリンパスは,一般向けディジタルカメラでは業界をリードしていると言える。突然,OMマウントのキャメディアが発売されることがあっても驚かないだろう。OM−707のように,コケるかも知れないが (^-^;

業務用としての写真は,どんどんディジタル化しているが,フィルムによる写真が滅びてしまうことはないだろう。写真が登場したからと言って,画家の需要がゼロになったわけではないように。
 フィルムによる写真が「表現手段」としての価値を失って省みられなくなるよりも,資源や環境の問題で消えざるを得なくなる日の方が,早いような気がする。


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