撮影日記


2000年06月12日(月) 天気:くもりのちはれ

これもステレオ写真

わたしたちの回りには「ステレオ」が満ちあふれている。テレビやラジオは「ステレオ」放送をしている。MDやアナログカセットテープの再生機も,「ステレオ」音響に対応した製品だ。
 かつて,「ステレオ」とは,高級音響製品をあらわす名称だった。この場合の「ステレオ」は,日本語で言えば「立体音響」を意味していることになる。人は,左右の耳で,音のする方向などを知ることができる。左右のスピーカーから出る音は,それぞれ左右の耳で聞く音になる。

stereoを英和辞典でひいてみると,「立体の」という意味が含まれていることに,すぐに気がつくであろう。「ステレオ」は,音に限定して使う言葉ではない。
 「ステレオ」は,写真でも可能である。現在はあまり流行していないが,「ステレオ」写真が流行していた時代もあった。明治時代には,ステレオ写真集もいろいろと発売されていたようである。
 ステレオ音響が,左右の耳で聞く音を,左右のスピーカーから出しているように,ステレオ写真は,左右の眼で見る画像をそれぞれ用意しておけばよい。ステレオの音を録音するために,左右のマイクロフォンが必要なように,ステレオ写真を撮影するには,左右の眼に相当するレンズがあればよい。適切に離れた2つのレンズで,1つの被写体を同時に撮影し,撮影したものをそれぞれ左右の眼で見れば,そこにはステレオ写真,立体的な画像が見えるのである。

右の写真は,アジサイの花を撮ったステレオ写真である。
 中央に,やや暗くなった部分があるが,そこを境目に,右側の画像を右目で,左側の画像を左目で見ると,立体的に見えてくる。
 ディスプレイに少し近づいて,遠くを見るようにしてみると,次第に左右の画像が中央に近づいて見えてくる。左右の画像が重なったとき,焦点をあわせると,画像が立体的に見えてくるのだが,これには少し練習が必要だろう。
 難しいと感じたら,プリンタに出力して,左右の境目のところにハガキをたてて見てみよう。

この写真は,マミヤユニバーサルプレスに4枚撮り撮影装置をとりつけ,ポラロイドパックで撮影したものである。
 4枚撮り撮影装置は,右の画像のように,4つの窓があり,内部にプリズムが入っている。
 本来,この装置は,ステレオ写真を撮るためのものではない。
 写真屋さんで,1分仕上げの証明写真を撮ってもらったことはないだろうか?そのとき,レンズが2つあるいは4つあるカメラで撮影されたことがあるだろう。
 この装置は,本来,証明写真を撮るためのものなのである。

上の画像では,左右2コマ分だけにトリミングした。本来は,右のように,1枚の写真に4コマが写っているのである。
 コマによって,写っている範囲がかなり違うが,だからこそ,十分なステレオ感が得られているのである。
 ステレオ写真に興味をもったら,ステレオカメラを入手してみるのもいいだろう。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 127mm F4.7, POLAROID type 87

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