撮影日記


1999年11月11日(木) 天気:はれときどきくもり

ベルリンの壁・崩壊

11月9日,テレビのニュースが,「ベルリンの壁・崩壊10周年」を報じていた。その論調は,「ベルリンの壁の崩壊により,東側住民は自由を得たが,その代償として厳しい競争社会に投げ出された」というものが主である。
 事実,この日を境に,旧東ドイツの国営企業の多くが,経営が成り立たなくなったという。名門カメラメーカー,ツァイス・イコンの流れを受け継ぐ,VEBペンタコンも経営の危機に直面した。その後,西側企業に吸収される形でなんとか生き残り,プラクチカB型カメラや,エキザクタ66などのカメラを継続して供給しているようだ。
 そんな報道が流れている日,海外通販で買ったカメラが届いた。VEBペンタコン製の,プラクチカである。ドイツでは,東ドイツ時代を懐かしむような施設やイベントが,かなりの人を集めているという報道も流れてきた。もしかすると,これから,東ドイツ製カメラにも注目が集まるのだろうか,・・・などとつまらないことを考えながら,プラクチカの動作確認と掃除をおこなった。

ところで,東ドイツ製カメラの品質はどうなんだろうか?旧ソ連製品同様に,あまり高い評価は得ていないようである。このたび,東ドイツおよびソ連製カメラがいくつか集まったので,ちょっと並べてみた。

東ドイツとソ連の一眼レフカメラ。
左上:PENTACON PRAKTICA super TL2,中上:PENTACON PRAKTICA LTL3
左下:IHAGEE EXA,中下:IHAGEE EXAKTA VAREX VX,右:ZENIT E

2台のプラクチカは,M42マウント(ペンタックスのスクリューマウントも同じ)を採用し,縦走り金属幕フォーカルプレンシャッターで,絞り込み測光だがTTL露出計も内蔵している。十分に実用的なカメラだが,その反面,平凡な印象のカメラである。
 エクサおよびエキザクタは,完全自動絞りも,クイックリターンミラーもない,非常に原始的な一眼レフといえる。しかし,左手で操作するシャッターレリーズボタンなども含め,非常に個性的なカメラと言えよう。プリズムファインダーとウエストレベルファインダーが交換できることも,大きな魅力である。
 ゼニットは,ソ連製の一眼レフである。シャッターダイアルが,シャッター幕の動きに伴って回転するなど,古いフォーカルプレーンシャッターの性格を残している(エキザクタも回転する)。ライカコピー機である,ゾルキーのような印象を受ける操作性だ。この5台の中では,もっともチープな印象を受ける。

しかし,ファインダーを覗くと,ゼニットが一番明るいのである。東ドイツやソ連のカメラは,比較的安いのに,割と遊べるカメラだと感じている。


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