撮影日記


1999年10月26日(火) 天気:くもりのち雨

しょぼズーム撮り比べ

ズームレンズの画質は悪い。これは明白な事実である。しかし,実用上,支障がなければ問題はない。問題がないなら,ズームレンズの持つ利便性を,積極的に活かして撮影を行いたいものだ。
 最近の高級ズームレンズは,単焦点レンズに匹敵する画質をもつと言われている。しかし,それらのレンズは大きく重い。また,同程度の口径比の単焦点レンズが数本買えるような値段がついていたりすることも珍しくない。だから,こんなズームレンズにはあまり魅力がない。そうではなく,安くて小型な普及型ズームレンズで,十分に使えるものがあってほしい。

いま,2本のタムロン製ズームレンズが手元にある。
 1つは,28-200mm F3.8-5.6の初期型である。最短撮影距離が2.1mで,非常に長いのが大きな問題であるが,焦点距離だけで言えば,これ1本でかなりの場面に対応できる。
 もう1つは,20年以上前の製品であるが,35-80mm F2.8-3.5という,ズームレンズとしては大口径なレンズである。広角側で1:2までのマクロ撮影もでき,機能的にはかなり充実している。
 これらと,ニコン様伝統のしょぼズーム「Zoom-NIKKOR 43-86mm F3.5」通称「ヨンサンハチロク」の比較をしてみたものが,下の写真だ。

左から,
new Zoom-NIKKOR 43-86mm F3.5 (Ai改造)
TAMRON 35-80mm F2.8-3.5 MACRO
TAMRON 28-200mm F3.8-5.6 Aspherical (71A)
いずれも,フィルターなし,ニコンF3,絞り優先AE補正なし,焦点距離およそ60mm相当,絞り値およそF5.6相当,フィルム EBX,撮影地 臥竜山

まあ,このサイズでは,ディテールはわかりにくいかと思う(笑)。
 そこで,気になった点を列記してみる。
 左端は,ヨンサンハチロクである。これは,他に比べて濃い発色をしている。レンズのコントラストが高いのか,露出がアンダーになっているのかは,よくわからない。ただ,個人的好みを言えば,これは適正露出である。
 中央は,タムロン35-80mm F2.8-3.5 MACROである。思いっきり黄色い発色をしてくれた。また,周辺の像が流れ気味で,特に右下はぐじゃぐじゃになっており,ヒドイものだ。古いレンズなので,経年劣化もあるのだろうか?
 右端は,タムロン28-200mm F3.8-5.6 Asphericalである。四隅の像が流れ気味だが,その範囲はごく狭い。高倍率ズームに多くを期待してはいけないことはわかるが,やはりこれでは「これ1本」でまかせることは,難しい。

なお,このような被写体では気づきにくいが,ヨンサンハチロクとタムロン35-80mmの歪曲収差は,非常に大きいことを付け加えておく。まあ,たまにはこんな遊び方も悪くないだろう。


← 前のページ もくじ 次のページ →