撮影日記


1999年05月10日(月) 天気:晴

TENAXで撮る

先日,見つけたクラカメの正体がわかった。結局,大正時代の乾板カメラで,「テナックス」という。製造したのは「ゲルツ社」で,この会社はツァイス・イコンの前身の1つである。ツァイス・イコンになってから,「テナックス」という名称で35mmフィルムを使うカメラが発売されているが,単に名前が同じというだけで,関係はないようだ。

見つけ出した「テナックス」は,乾板カメラである。現在では,ガラス乾板のみならず,そのサイズに合うようなシートフィルムも市販されていない。レンズもきれいで,シャッターもとりあえず動いているので,ぜひとも使ってみたいものだが,フィルムには一工夫が必要だ。
 画面サイズが,セミ判に近い(アトム判というらしい)ので,120ロールフィルムを切って使うことを考えた。暗箱の中で,手探りで切らねばならないので,ちょうどよい位置に,カッターナイフの刃をあてがうような工夫が必要である。そのための「枠」は,厚紙を切って重ねてなんとか作ることができた。しかし,カールのきつい120ロールフィルムを,狭い暗箱内で手探りで切ることは困難である。なかなかまっすぐには切れないものだ。

フィルムホルダ部にも工夫が必要だ。ガラス乾板を使うためであろう,ホルダの中央部に,強めの板バネが取り付けられている。そのままカットしたフィルムを装填すると,撮影はできるが,ホルダ部の遮光板を戻すときに,フィルムを傷つけてしまう。
 そこで,ジャンクワゴンから拾ってきて,部品撮りにしてあるコンパクトカメラの圧板を,テナックスのフィルムホルダにはめてやった。少し面積が狭いので,厚紙に120ロールフィルムの裏紙を貼った圧板をつくり,これらで2段階にフィルムを押さえるようにした。
 そうやって,ここ数日で何枚か撮ってみたが,フィルムを平面に保つのが難しい。また,フィルムを小さく切りすぎると,ホルダから飛び出す。大きく切りすぎると,ホルダに入らない。

いろいろな本を読んでいると,このような乾板カメラに使えるロールフィルムホルダというものは存在するらしい。できるだけ安価に見つけ出したいものである。


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