撮影日記


1999年02月02日(火) 天気:夕方から雪

ロシアカメラは粗悪品ではない

「中古カメラGET」という雑誌(誤植や事実誤認の目立つあの雑誌だ)の最新号で,いわゆる「ロシアカメラ」のことがとりあげられている。その記事によると,一般に「ロシアカメラは粗悪品である」と言われているのは誤認である,ことが強調されている。それは,ライカのような「贅沢品」と比較するからに過ぎないのだ,と。社会主義経済のもとでは,カメラはきちんと写真がとれればそれでいい,「持つ喜び」など必要ないのだ,という意味のことが述べられている。
 これは,非常に共感できる意見である。特に,私は以前から,このページを利用して,「ライカは不当に高価である」と主張してきた。それが認められた気分である。

ところで,何度もここではとりあげているが,私もロシアカメラを使っている。それは,「キエフ4M」型である。たしかに,あまりきれいではない。故障している部分もある。それは事実だが,はたして,この事実をもって,ロシアカメラが粗悪品であると言い切れるのであろうか?
 私のもっているキエフ4M型は,1980年製である。およそ20年前のカメラを,現役でバリバリ使い続けている人が,はたしてどれだけいるのだろうか?1980年ごろ,日本で人気のあったカメラというと,キヤノンAE−1やミノルタX7がある。これらは,今では中古カメラ屋の格安品コーナーやジャンクワゴンの定番ではないか!キエフのことを,製造後20年たって完璧な状態ではないという理由で「粗悪品だ」というならば,キヤノンAE−1やミノルタX7はそれ以上の粗悪品ということになる。

実際,ロシア製カメラは,必ずしもまともなルートで日本に入ってきているとは思えない。最近,あるお店で何台かのゾルキーを見たが,どうも,二個一,三個一で作られたとしか思えないようなものがあった。これは「粗悪品」の一種であるが,ロシアのカメラ製造技術が稚拙であるために「粗悪品」になったことを意味するものではない。
 前述の雑誌の記事を読むと,結局,ロシアカメラは余計な「飾り」がないため,ライカなどの贅沢品に比べると,あまりにもチープに見えることが問題なようだ。また,「偽ライカ」を製造するなど,ダーティなイメージを引きずっている面もあるだろう。だが,ロシアつまり旧ソ連は,世界で最初に人工衛星を成功させた国である。そんな国の工業技術力が稚拙なはずがない。

私がロシアカメラを抵抗なく受け入れられるのは,そこに「実用」だけに徹した美しさを感じるからかもしれない。あ,どこかにそんなカメラがあったような・・・・・・。あ,そうだ!マミヤプレスにも通じる美しさなんだ!


← 前のページ もくじ 次のページ →