撮影日記


1999年01月05日(火) 天気:快晴

ひろしま世界化石ミュージアム閉館!

今日は仕事はじめ。出勤すると,取り引き先や,仕事でお世話になった方々からの年賀状がたまっていた。こういう年賀状のほとんどは,「部署宛て」でくるのだが,ご丁寧にも一部には,私宛てにしてくださっているものがある。ありがたいことだ。
 そんな年賀状の中に,1つ,残念な内容のものがあった。

1997年5月の日記で書いたが(バックナンバーも見てね!),宮島に「ひろしま世界化石ミュージアム」という博物館がある。この博物館は,館長さんの個人的コレクションにより構成されているのだが,その内容は「すごい」の一言に尽きる。なんといっても,すべて「本物」であり,レプリカは1つもないのだ。
 館長さんから届いていた年賀状によると,1月11日をもって閉館することに決めたという。そうなると,貴重な化石が,多くの人の目にふれる機会もなくなるのだ。これは非常に残念なことである。興味のある方は,ぜひ,今週末にでも訪れるべきである。これだけの化石を,一度に見ることのできる機会は,めったにあるものではない。
 閉館の理由としては,入居している建物が違法建築であることがあげられていた。建物が違法建築であり,管理者がその改善を怠っているために,当初から計画していた看板の設置がいまだに認められないというのだ。さらに,入り口にゲーム機が林立するようになり,博物館としての品性を保つことができなくなっている,とも書かれている。実際,この博物館に行ってみるといい。入り口はとても博物館とは思えない。どこにでもあるような3流の観光施設にしか見えないのだ。いや,3流の観光施設の中に,1流の博物館が入居してしまったのが現状なのだ。博物館に興味のある人が近づきたくなるような建物ではなく,3流の観光施設に興味のある人は,博物館に興味をもっていない。

以前,テレビのインタビューで,広島県知事が「広島に(自然科学系の)博物館がないことが悪いことなのか?」という意味の発言をしたらしい。博物館がなくて,どうして人々に,自然科学の普及をはかることができるのか?自然科学を正しく理解することなくして,将来の地球環境を,人間の生存に適した状態に維持していくことができるのか?今回のできごとを,「個人経営の趣味的博物館が,経営不振で閉館する」ことにすぎないというとらえかたをしてはいけないと思う。広島にあった,貴重な社会教育施設が失われるという,重大な事件であると認識したい。
 前述の知事の発言に対しては,広島に在住する科学者や理科教育関係者が,猛烈な抗議行動を起こしているらしい。私も,憤りを隠すことはできない。


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