撮影日記


1998年10月11日(日) 天気:はれ

洗川の谷渡り台杉

2日連続で,戸河内方面へ撮影にでかけた。可部線の撮影ポイントを探すためである。戸河内駅と三段峡駅の間に,ちょうどトンネルから出てくるところを狙える場所があった。また光線のよいときにそこから狙ってみるつもりである。
 また,戸河内の町は,ごくごく小さいがおもしろそうなものがある。出雲大社みたいな屋根をした小さな神社があったり,その他,「レトロ」と言いたくなるような家がちらほらあったりするのだ。そういう場所は,クラシックカメラを持って歩くとおもしろいだろう。

戸河内駅のそばに,「県指定天然記念物 洗川の谷渡り台杉」という看板がある。狙っていた列車の撮影も終わったので,そこへ行ってみることにした。それにしても道が細い。対向車がきたらどうしようかと不安になりながら,細い山道を進んでいく。道はだんだん細くなり,周囲はだんだんうっそうとした杉林になる。途中に看板は全然でていない。ただ,道なりに走っただけである。道を間違えてないよね,と不安になりながらもとりあえず進んでみる。
 そのとき,目の前に小さな看板があらわれた。「県指定天然記念物 洗川の谷渡り台杉」への入り口だという。距離は200mほどとのこと。しかし,その看板にかかれた矢印の先をみると,道などない。いや,よくみると,ケモノ道がある。たぶんこれだろう。
 さすがに普通の靴で行くのは厳しそうなので,トランクの奥からキャラバンシューズを取り出して履きかえた。そう,アマチュア写真家として,いつでも「山」に入りこめるように,キャラバンシューズと軍手は常備してあるのだ。
 ケモノ道を入って少し行くと,ふたたび看板があった。その矢印は,道のない谷筋をさしている。そこから150mだと書いてある。靴を履きかえたのは正解であった。谷には水の流れている部分もあり,また倒木に行く手を阻まれる個所もある。そうやってしばらく谷を登っていくと,突然大きな看板に出会った。そこには「県指定天然記念物 洗川の谷渡り台杉」の説明が書かれている。それによると,1本の杉が倒れて谷をまたぎまた伸びて「谷渡り」杉になった。そこから枝が何本も伸びてそれぞれが一人前の幹になっているという。これは極めて珍しいものだそうだ。しかし,実物はどこに……。谷のさらに上流にそれはあった。谷を渡る1本の杉から,多くの杉が生えているようになっているのである。
 近づいてみると,ほどほどに苔もついていて,絵になりそうである。これは,春に来るべきかな,まだ雪が残っているころと,新緑のころがいいかと思う。とりあえず場所は覚えておこう。


← 前のページ もくじ 次のページ →