撮影日記


1997年11月13日(木) 天気:くもり

大イチョウの撮り方

茶わんむしにはいったギンナンに特別の思いを抱いている(1997年11月10日の日記を参照)方は私だけではないようだ。最近,次のようなメールをいただいたので紹介する。

ギンナンの入っていない茶わんむし程悲しいものはないです。
 ギンナンを一気に匙でほじくり出したい衝動をおさえつつ、三つ葉、しいたけ、かまぼこ、鳥肉などを始末して、最後に、茶わんの底でじっと待っているギンナンを、おもむろにすくって口へ運ぶ。
 これが正しい茶わんむしなのであります。

(T.I.さん)

私は,けっこう早い段階でギンナンを探し出す。しかし,それはさっさと味わうためではなく,存在を確認するため!存在を確認したら,他の素材をゆったりと味わい,もうギンナンが隠れようがなくなったあたりで,思い切って味わう。だから,結局ギンナンにめぐり合えなかったときの落胆はやはり大きい。
 さて,前にも書いたように,筒賀神社は狭い場所で,後ろへほとんど引くことができない(1997年11月9日の日記を参照)。したがって,撮影では超広角レンズ(Mamiya-sekor 50mm F6.3, 35mm判でおよそ22mmに相当する写角)の出番となった。午後の太陽を背にイチョウに向かうと,すぐ隣に幟を立てるポールがある。ここで無造作に超広角レンズを使うと,そのポールの先端がきっちり画面内にはいってくる。このレンズは開放値が暗く,さらに順光という素晴らしい条件だったため,ピントグラスに写った像を確認するのが容易ではなかった。そのため,ポールの先端がはいってしまった「失敗作」も何点かあった(わざわざ「入れた」ものもあるが……)。ちょっとおおげさだが,大判カメラを使うときのように冠布でも用意した方がいいのかもしれぬ。
 さらに,筒賀神社の本殿も撮った。本殿の向こうに見えるのは,大イチョウとは別のイチョウ。大イチョウは画面の右側半分を占めている。これは後ろの山の赤くなった葉などとの対比ができる構図を探したものの,どうしても例のポールが画面内に入ってしまい,結局,欲張らずに神社の建物とだけ対比させたものである。大イチョウも後ろのイチョウも,きれいに色づいており,写真では両者が溶け合ってしまったのが残念なところ。
 なお,これらの撮影には,秋の快晴の日の「お約束」で,PLフィルターを使って空とのコントラストを思いっきりつけてみた。ここでVelviaを使うとトンデモ発色のどギツイ写真が得られるので,そういう絵の好きな方はぜひお試しを。なにせ,EPNでもそれなりの色になる日なんだから。
 露出は入射光式で,光球部に日光が当たる状態で測定した。PLフィルターをかけるために+2,ヤマカン補正で-1で,トータル+1とした。予定通りのややロー気味の絵になり,まあ悪くなかったと思っている。
 さらに,幹の太さを強調してみようとした撮影もおこなった。地面が黄色い落ち葉で埋まっていれば地面まで入れてみるのだが,地面にはほとんど葉が落ちていない。したがって,ここも欲張らずに幹だけに集中することができたといえよう。日影の部分で入射光式露出計を使い,ほぼ出た目で撮影。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6, EPN

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