撮影日記


1997年05月16日(金) 天気:よい

古いカタログをながめていたら

なぜか手元に1968年「日本カメラショー」の総合カタログがある。古い製品についての情報が必要なときに見ることがあるのだが,そのなかにおもしろい表現があったので,取り上げてみる。

そもそも,カメラにかぎらず昔の広告はおもしろい。
 なんかアカぬけしていないのだが,そこがまた「いい」のだ。最近のテレビCFのように「いったい,これはなんの宣伝だ?」と悩むこともなく,かといって商品名を連呼しているだけでもなく,くどくどと商品の特徴を述べている。
 このカタログ中においても,たとえばこんな表現が見られる。「ペトリ」というメーカーのある機種については,説明が5行ほどある。しかし,そのうちまるまる4行は,ある有名写真家の「言葉」が引用された形になっており,最後の5行目に「・・と称賛しております。」とだけ書かれている。今ではあまり見かけない手法であろう。

さて,その「ペトリ」のページに,おもしろい表現があったのだ。
 ズームレンズが1つ,紹介されている。スペックは,焦点距離85mm〜210mmで,口径比はF4.8,レンズ構成は8群13枚。まあよくあるスペックであろう。
 おもしろいのは,その見出しである。こう書いてある。

「点から線・・・125本のレンズがこの1本に」

普通の感覚であれば,焦点距離85mm〜210mmのズームレンズは,85mm,105mm,135mm,180mm,200mmの「5本のレンズがこの1本に」となるであろう。そこを1mm刻みで考えているようである。この感覚がおもしろい。

この表現に「重箱の隅」をするなら,次の2点がある。

「1mm刻みで考えるなら,125本分じゃなくて126本分だよ」

「どうして,0.5mm刻みで考えないんだい?」


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