撮影日記


1997年04月03日(木) 天気:春よのう,雨よのう

フィルムに関するひとり言

とくに昔の話に関して,私の記憶違いがありましたら,お手柔らかにご指摘をお願いします。

日米貿易摩擦の争点の1つに,写真フィルムがある。日本国内では一般用フィルムとして,富士写真フィルム(以下,フジと表記)が事実上寡占状態にあるからだろう。私も一時期よく使っていた。今でもPROVIA 400やNEOPAN PRESTO 400などは好んで使う。高感度フィルムでもそんなに粒状性が悪く見えないからだ。
 しかし,一般用フィルムとして見るとき,フジの製品は決して好きではない。発色が軽いのである。「きれい」ではあるが,好きにはなれないのである。逆にVelviaというフィルムはおもしろい。フジの他のフィルムとは異なり重厚っぽい発色をするが,単に「青」の原色が濃いだけのようにも見える。
 その点,コダックのフィルムは落ちついた色を出してくれて好きだ。Ektachrome Dyna EXなどのアマチュア向け製品は,発色もほどほどに派手で,管理も容易で使いやすい。私はニコンのカメラが好きで,コダックのフィルムが好きだ。ただし,ポール・サイモンの「僕のコダクローム」に影響されたわけではない。

だが,コダックの製品も,いつもいつも信用してよいとは決して思っていない。とくに,高感度フィルムには裏切られるのではないか,という懸念があるからだ。
 私がまだ小学校に入学する前のことだったろう,まだカメラのことをロクにしらなかった私がかすかに記憶しているのは,「フジやサクラはここを100にあわせて,コダックは80にあわせるんだよ」という説明の言葉。当時,フジカラーやサクラカラー(現コニカカラー)の感度はISO 100(当時の言い方はASA 100)であったが,コダカラーの感度はISO 80だったのだ。その後,各社ともモデルチェンジをおこない,フジカラーF-II,サクラカラーII,コダカラーIIとなり,感度はすべてISO 100になった。このとき,コダカラーIIは感度アップにより粒状性が悪くなって人気が落ちてしまったと聞いている。そして,萩本欽一氏の「4枚増えて値段は同じ〜」のCMで有名な「サクラカラー24」の登場で,サクラカラーの人気が決定的になり,一般市場におけるコダカラーの人気はなくなってしまったらしい。

それから何年かが過ぎた。カメラというものに興味をもちはじめた私の前に,各社がフィルムのモデルチェンジをおこなったという情報があった。フジは「HR」,サクラは「SR」という名称になったのだが,コダックはこれらのものよりも進んでいると称していた「T型粒子」という技術で,「VR1000」という当時最高感度のカラーネガフィルムを送り出してきた。感度もすごいが,粒状性もよいと称していた。
 使った結果は,写真をはじめたばかりの私にも「ふつうの撮影には使えない」と感じたように記憶している。その後しばらく,私はアグファのAGFAPAN VARIO XLとフジのHR200に凝っていたように思う。

最近,コダックから,従来の「エクター」シリーズを改良した「ロイヤルゴールド」シリーズが発表になった。とくにロイヤルゴールド400は,高感度と超微粒子を実現したと称している。さて,その実力は……


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