撮影日記


2022年07月24日(日) 天気:曇

等倍越えは異次元の絵

今朝の中国新聞1面のトップ記事は,1日あたりのCOVID-19感染症の感染報告がはじめて20万人をこえた,ということを報じるものであった。COVID-19感染症が,また増加していると報じられている。東京都では連日,3万人以上の感染報告があるという。

メディカルニッコールは,先端にリング状のフラッシュを内蔵し,等倍前後の近接撮影に特化したレンズである。メディカルニッコールは大きく分けて,旧型の200mm F5.6のもの(細かく3つのバージョンに分類される)と,新型の120mm F4のものとの2種類がある。

撮影倍率については,旧型は最大で3倍までの撮影に対応しており,専用のアタッチメントを先端に取りつけて,撮影倍率を決定する。新型は最大で2倍までの撮影に対応しており,ピントリングのようなリングを回すことで,撮影倍率を決定する。
 絞りは,露光の瞬間だけ絞り込まれる自動絞りになっており,ピントあわせは開放の状態でおこなうことができる。旧型では,アタッチメントレンズの組み合わせで撮影倍率を決定した後,鏡胴のリングをフィルム感度や撮影倍率にあわせると,実際に使う絞りが決まるようになっている。絞りの目盛も刻まれている。新型は,撮影倍率を決定するリングに連動して,絞りも決まるようになっている。
 旧型も新型も,レンズに内蔵したフラッシュを使って撮影することを前提にしている。そのため,撮影倍率を高くして被写体との距離が近づくほど,絞り込むようになっている。フラッシュが発光する明るさは一定になっており,被写体に近づくほど絞り込まれることで適切な露出が得られる,いわゆるフラッシュマチックになっている。
 新型のMedical-NIKKOR 120mm F4 (IF)では,撮影倍率を決定するリングと絞りとが連動していて,つねにフラッシュマチックの状態である。言い換えれば,特定の撮影倍率における絞りは決定されていて,自由に絞りを選択することができない。旧型のMedical-NIKKOR C Auto 200mm F5.6は,アタッチメントレンズの組み合わせで決めた撮影倍率に応じて,自分でリングの目盛をあわせる必要がある。言い換えれば,どの撮影倍率であっても,どの絞りでも選択することができる。

このたび入手した旧型メディカルニッコール,Medica-NIKKOR C Auto 200mm F5.6は,レンズと電源ユニットを結ぶケーブルが欠品していたので,いま内蔵されたフラッシュを使うことができない状態である。そこで,自然光での撮影を試すことにした。レンズに内蔵されたフラッシュを使った撮影をするのでなければ,絞りを自由に選択することもできるわけである。

Kodak DCS Pro 14n, Medical-NIKKOR C Auto 200mm F5.6

撮影倍率は等倍,絞りは開放で撮影したものである。Ai Micro-NIKKOR 200mm F4は1/2倍までの撮影なので,200mmレンズでの等倍撮影ができるという点で,ここはMedical-NIKKOR C Auto 200mm F5.6を使う意味があることになる。

Kodak DCS Pro 14n, Medical-NIKKOR C Auto 200mm F5.6

撮影倍率を3倍にすると,ピント調整が難しくなってくる。ここまで倍率を高くして撮影すると,ほんの少しの風でも,被写体ブレを起こすことがよくわかるようになる。

Kodak DCS Pro 14n, Medical-NIKKOR C Auto 200mm F5.6

少しでも被写界深度を確保しようとF22まで絞ると,さらに風が止んでくれることが重要になる。そのかわり,シャープさが増して,画質が向上するように見える。結局は,フラッシュを使った撮影が望ましいのかもしれない。
 1/2倍や等倍くらいでの撮影は,ふつうのMicro-NIKKORでもできる。撮影した画像そのものも,見慣れたものである。しかし等倍をこえて,撮影倍率が2倍や3倍になると,ふだん目にすることのない不思議な画像が得られるようになる。なお,一般的に接写用のレンズは「マクロレンズ」とよばれているが,ニコンでは等倍以下の撮影をするためのレンズは「マイクロレンズ」,等倍をこえる撮影をするためのレンズは「マクロレンズ」とよびわけている。メディカルニッコールは新型も旧型も,等倍をこえる撮影に対応した,マクロレンズの一種ということになる。


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