撮影日記


2022年04月03(日) 天気:晴

土手のふもとに咲く花

広島地方気象台は,3月29日に広島県内のサクラが満開になったと発表した。あちらこちらにあるサクラも,ほとんどが満開前後の状態になっており,まさにこの週末が見ごろとなっている。
 土手の下に咲いているサクラがある。土手の上から,サクラを見下ろすように撮ることができる。

FUJIFILM X-T10, FUJINON XC 15-45mm F3.5-5.6

枝の先とくらべて,幹の中ほどの枝をいちばん広げているあたりは,花が咲いている密度が高い。このサクラは土手のすぐそばで枝を広げているので,高い位置で密に咲いている部分に接近し,そこを覗き込むように撮ることも容易である。

FUJIFILM X-T10, 7artisans 25mm F1.8

もちろん,1つ1つの花にいくらでも接近できるが,手持ち撮影ではここまでの接写はさすがに容易ではない。とくに,カメラが小さく軽いのにくらべてレンズが長く重いときは,なおさらである。

FUJIFILM X-T10, TAMRON SP 90mm F2.5 (52B)

つぎは,足元に目を向けてみよう。いろいろな,小さな花が目に入る季節になっている。気にかけている花の1つに,サギゴケとよばれるものがある。名前に「コケ」が入っているが,地衣類ではない。おもに,白い花が咲くシロバナサギゴケと,紫色の花が咲くムラサキサギゴケがあるが,わたしが好きなのはムラサキサギゴケのほうである。

FUJIFILM X-T10, TAMRON SP 90mm F2.5 (52B)

ここも,土手のように少し盛り上がったところである。それにくわえて,液晶モニタの角度を変えられるタイプのいわゆる「ミラーレス」カメラを使うと,地を這うように生える花も撮りやすい。FUJIFILM X-T10と FUJINON XC 15-45mm F3.5-5.6は,どちらも上位モデルの製品ではなく比較的安価な製品の組みあわせであるが,シャッターレリーズの反応も速いし,オートフォーカスもそれなりに頼りになる。こうやって花から花へ移動するチョウも,カメラまかせでなんとか追っていける。

FUJIFILM X-T10, FUJINON XC 15-45mm F3.5-5.6

バードウォッチングをしている人だろうか,双眼鏡を首から下げて散歩している人に,声をかけられた。
 「この花,名前を知らないのですが,紫のは珍しいですよね。」
   シロバナサギゴケはよく見かけるそうだが,ムラサキサギゴケは見たことがなかったらしい。よほどの寒冷地でもなければじゅうぶんに生育する花のはずだが,足元に咲いている小さな花だから意識していないと白い花なら目についても,紫の花だと気がつかないのかもしれない。そして,名前を知らないと,さらに意識することもないのだろうとは思う。
 たとえば,わたしは,鳥の名前を知らない。だから,珍しい鳥がそこにいたとしても気がつかないだろうし,ふだん見慣れない鳥ならば,珍しくないものであっても,珍しいと思うだろう。


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