2022年02月24(木) 天気:晴のち曇
関式サロン露出計(角型)と特許・実用新案
ロシアがウクライナを攻撃した,というニュースが入ってきた。詳細なことは,まだよくわからない。背景にある事情はともかくとして,また,世界のどこかで戦争が起きたのである。これが,すぐに収まるのか,さらに拡大するのかは,わからない。
「関式サロン露出計」の取り扱い説明書を入手した。以前に入手したもの(2022年1月6日の日記を参照)よりも古いもので,奥付には「昭和26年4月1日 改訂二十三版印刷,昭和26年4月5日 改訂二十三版発行」という年月日が記されている。また,お借りしているものとは異なり,表紙に型を示す文字がない。
▲「関式サロン露出計UA型」のものと思われる取扱説明書
これまでに,関式サロン露出計の取り扱い説明書は4種類のものを入手したことになる。また,この4種類とは異なるものについて,情報を提供していただいている(*1)。下の表ではこれらについて,発行年月日順に番号をつけた。
関式サロン露出計 取扱説明書の発行時期など
No. | 型 | 発行年月日 | 版 | 印刷所 | 備考 |
@ | UA? | 1951年4月5日 | 改訂二十三版 | 秀英社 | 型の記載なし。説明書のみで入手。 |
A | UB型 | 1951年9月5日 | 改訂23版 | 三陽社 | 奥付のみの情報提供(*1)。 |
B | UB型 | 1953年2月5日 | 改訂31版 | 三陽社 | 表紙に「UB型」と表記。借り物。 |
C | VA型 | 1954年4月15日 | 改訂40版 | 新倉東文堂 | 表紙に「VA型」と表記。借り物。 |
D | VA型 | 1954年6月15日 | 改訂42版 | 新倉東文堂 | 本体,外箱とセットで入手。 |
@は,表紙に型の表記がない。しかし,Bのように「UB型」という表記がされている例があるので,これはUA型の可能性がある。また,印刷・発行の時期が1951年4月であることは,UA型が発売されていたと考えられる時期と整合する(2021年10月31日の日記を参照)。
Aは,すこし不思議な存在である。@が「改訂二十三版」であるのに,Aも「改訂23版」となっており,同じ版になっている。また,Aだけほかの版と,奥付のデザインが大きく異なっている。ただ,@とA(およびB)では印刷所が異なっており,@では版を漢数字で表記していたのが,A以降では算用数字での表記にかわっているので,「23版」というのは誤りかもしれないと思っている。ともかく,Aが存在することで,UA型とUB型との違いは「サンマータイム対応」ではないと考えざるを得なくなり,特許などの違いによるものではないかと考えることにした(2022年1月13日の日記を参照)。
これらの取り扱い説明書の冒頭には「十五大特色」がまとめられている(Aは奥付のみの情報提供のため未確認)。いくつかの項目に,「特許」あるいは「実用新案」に関係する文言が付記されている。
▲「十五大特色」における実用新案・特許関連の記載(改訂二十三版のもの)
関式サロン露出計 特許・実用新案に関わる「十五大特色」
No. | 型 | 発行年月日 | 版 | 特許・実用新案 |
@ | UA? | 1951年4月5日 | 改訂二十三版 |
実用新案登録済
「昼でも夜でも」
実用新案出願中
「影の長さによっても露出がわかる」
「合理的な機構とスマートな形態美」
特許出願中
「時刻盤の設置」
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B | UB型 | 1953年2月5日 | 改訂31版 |
実用新案登録
「影の長さによっても露出がわかる」
「合理的な機構とスマートな形態美」
特許
「時刻盤の設置」
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C | VA型 | 1954年4月15日 | 改訂40版 |
実用新案登録出願中
「高速シンクロフラッシュも簡単に」
実用新案登録
「影の長さによっても露出がわかる」
「合理的な機構とスマートな形態美」
特許
「時刻盤の設置」
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D | VA型 | 1954年6月15日 | 改訂42版 |
実用新案登録出願中
「高速シンクロフラッシュも簡単に」
実用新案登録
「影の長さによっても露出がわかる」
「合理的な機構とスマートな形態美」
特許
「時刻盤の設置」
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UA型(@)のときに出願中だった実用新案2件と特許1件が,UB型(B)のときには取得できていたようである。UA型で実用新案登録済だった項目は,UB型のときには保護期間が終了してしまっていたのだろうか。このころの実用新案の保護期間は,登録から10年であった。また,UB型で取得できていた実用新案2件と特許1件は,VA型でも引き続き示されている。この実用新案は1951年に出願したとしても3年しかたっていないので,まだ保護期間内である。さらにVA型では,あらたに実用新案登録を1件出願している。
これらのことから,「関式サロン露出計」がモデルチェンジを名乗るのは,あらたな特許,あるいは実用新案の出願あるいは取得に関係しているのではないかという可能性が色濃く見えてくるのであった。
未確認の版の内容がこれらのことと整合しているかどうか,機会があれば確認したいものである。
*1 twitterの投稿
→https://twitter.com/dinosauria123/status/1481277271587524608
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