撮影日記


2021年12月12日(日) 天気:曇

電池ボックスの蓋が弱いCASIO QV-10A

1995年3月に発売されたCASIO QV-10は,発売元の予想に反しての大ヒット商品になったとされている。それまでのデジタルカメラと大きく異なる特徴としては,カラー液晶モニタが内蔵されていたことがある。撮影した画像をすぐにモニタで確認できるだけでなく,モニタを撮影用のファインダーとして利用することもできた。そして,それまでのデジタルカメラよりも大幅に低価格だったことも,CASIO QV-10が大ヒット商品になる理由だったと考えられる。
 大ヒット商品になったCASIO QV-10だが,一般消費者向けの低価格なデジタルカメラという,まったくあたらしい分野の商品である。問題点も,いろいろと指摘できる。画質があまりによくないことは,デジタルカメラというものそのものが発展途上にある時期だから,しかたない。電池の消耗が激しいのは,カラー液晶モニタをつねにファインダーとして使うので,やむを得ない。だから,これらについては,目をつぶることにしよう。
 それに対して,なんとかならなかったのかと思う問題点の1つとして指摘したいのは,電池ボックスの蓋である。CASIO QV-10は,電源として4本の単3乾電池を使用する。本体に電池を入れて,蓋を閉めると,蓋についている爪が本体のくぼみにひっかかって固定される。このしくみは,翌年に発売された改良型のCASIO QV-10Aでも同様である。問題点は,この爪が折れやすいことである。インターネットオークションなどに出品されているCASIO QV-10Aには,「電池ボックスの蓋が閉まらない」という注記のあるものや,電池ボックスの蓋を固定するためと思われるテープの貼り跡が見えるようなものの出品が,割合として少なくないように感じている。わたしが入手していたCASIO QV-10Aも,ご多分に洩れず,この爪が折れて,蓋を固定できなくなっている。

なぜか先週は,インターネットオークションに多数のCASIO QV-10Aが出品されていた。そのうちの1つは,正常に動作しなくなっていると説明されていた。しかし,電池ボックスの蓋に問題がないように見えるし,開始価格も送料も安いものだったので入札した。そして,競合することなく落札できた。
 届いたCASIO QV-10Aは出品時の説明通り,正常に動作しないジャンク品であった。しかし,期待通りに電池ボックスの蓋の爪は,折れていない。
 底面にある2本のネジと,レンズ部を回転させると見える2本のネジをはずすと,底面のボディを少し広げることができ,電池ボックスの蓋を移植することができる。

無事に,電池ボックスの蓋を修理することができた。このような問題は,CASIO QV-10Aだけのことではない。蓋をロックする爪がプラスチック製のカメラすべてに該当する問題である。先日の日記で紹介したRICOH DC-2もここが壊れやすいというし,Nikon F-401のようないわゆるエントリーモデルの一眼レフカメラでも,裏蓋のロックがプラスチック製のものは珍しくない。こういう力のかかる部分は,金属製の部品にしたり,あるいは交換しやすくなっていたりするとありがたいものだが,製品のコストなどとの兼ね合いもあるのだろう。

幸いにもジャンク品ながら電池ボックスの蓋に問題なかったので,期待通りにCASIO QV-10Aの修理に利用できた。しかし,もし電池ボックスの蓋が壊れていたのなら,まったくの無駄になっていただろう。だが,ジャンク品であるとわかっているCASIO QV-10Aに入札したのは,電池ボックスの蓋だけが目的ではなかったのである。出品には,専用のコンバージョンレンズCASIO LU-10がセットになっていたのである。

CASIO LU-10という名称で,CASIO QV-10およびQV-10A専用の,純正のコンバージョンレンズである。望遠用のほうには大きなカビが生じていたが,簡単に分解して清掃ができた。簡便なオプション品とはいえ接着剤で固定しているわけではなく,ネジを使ってほしいところにはネジを使ってくれているようである。

CASIO QV-10Aは撮影した画像を,CFカードやSDカードではなく,内蔵のメモリに記録する。このデータをパーソナルコンピュータなどで利用するには,専用のケーブル(RS-232C端子を利用する)で接続し,専用のソフトウェアで変換する必要がある。残念だがそれは入手できていないが,以前に,内蔵メモリに記録した画像データをフロッピーディスクに保存する装置を入手しておいた。データの転送環境とコンバージョンレンズを確保できたので,あらためて当時の発展途上だった画像を楽しめそうである。


← 前のページ もくじ 次のページ →