撮影日記


2021年12月11日(土) 天気:曇

発展途上なRICOH DC-2の画像

古いデジタルカメラを使うには,3つの大きな壁が存在する。
 1つめは,電源の問題である。専用のバッテリーパックが入手できなくなっていると,カメラそのものには問題がなくても,かつてのように使うことはできない。
 2つめは,記録メディアの問題である。CFカードやSDカードなどのように,現在でも使われているメディアが使えるものならば困らないが,古いデジタルカメラではスマートメディアなど,すでに入手が困難なものを使っているケースが少なくない。また,記録メディアそのものは,1つあれば使い回しができるものの,それをパソコンで読み取るためのカードリーダーも入手困難になっている場合がある。
 3つめは,データの形式の問題である。独自の形式で記録し,JPEG形式で出力しないデジタルカメラも存在するのである。
 逆に言うと,これらの問題がまったくないデジタルカメラは,じゅうぶんに現代的なデジタルカメラなのである。そんなものは,古いデジタルカメラとよぶことなど,できないのである。

RICOH DC-2は,1996年に発売されたデジタルカメラである。前世紀末のデジタルカメラであり,年代的にはじゅうぶんに古い。では,3つの壁は,どうであろうか。
 1つめの問題,電源については,大丈夫だ,問題ない。RICOH DC-2は,4本の単3型電池で動作する。電池のもちは,あまりよいとは言えないが,充電式のNi-MH電池を複数用意しておけば,大きな問題ではない。
 2つめの問題,記録メディアについても,まあ大丈夫だ,なんとかなる。RICOH DC-2は,PCカード型のフラッシュメモリを記録メディアとして使う。アダプタを使えば,CFカードも装着が可能である。CFカードであれば,まだまだ,カードリーダーにも困らない。ただし,RICOH DC-2は大容量のCFカードには対応していないようなので,小容量のもので相性の問題がないものを確保しておかなければならない。幸い,複数の8MBというものを確保しているので,しばらくは困らない。
 3つめの問題,データ形式については,少しハードルが高い。RICOH DC-2は,.j6iという独自の形式でデータを記録する。このファイルをJPEGファイルにするには,専用のツールが必要らしいが,RICOHのWebサイトでは配布されていないようである。このファイルを開くことができるツールはないものかと,ふだん使っているAFFINITY PHOTOや古いAdobe Photoshopで試してみるが,開かない。フリーソフトとして有名な,GIMPやIrfan Viewでも開かない。RawTherapeeでも開かない。さて,これは厄介なことになったぞと思っていたところ,ふだんから使っているビューワソフトViXが難なく,.j6iファイルの内容を表示してくれていた。そのまま,.jpgファイルとして保存もできる。1ファイルずつ処理をしなければならないので,面倒ではあるが,これで3つめの問題も解決できた。
 RICOH DC-2は,古いデジタルカメラとして,認めることができそうだ。

RICOH DC-2

使えることが確認できたので,試し撮りをしてみた。
 このころの,RICOHのデジタルカメラは,最短撮影距離がきわめて短いという特徴がある。レンズ面から,約1cmまでピントがあうということである。この機能には,ほんとうに感激する。しかし,屋外ではこの液晶モニタはあまりにも「見えない」。被写体の位置を確認するのがせいいっぱい。ピントの確認までは,できそうにない。オートフォーカスの機能を信用するしかない。

RICOH DC-2

出力される画像は,発展途上というしかない。これなど,露出補正をうまく使えば,それなりに見られる画像になりそうだが,液晶モニタが屋外ではよく見えない。室内であっても,どこまで見え具合を信用してよいか,わからない。ともあれ,明るい部分がすぐに吹っ飛んでしまうという印象である。

RICOH DC-2

レンズそのものも,かなりがんばっているようだが,結果としては残念な印象しかない。ごく小さい撮像素子に像を結ぶために,焦点距離はごく短いものになっている。そのうえに,2焦点切り換えレンズである。周囲の歪曲は目立つし,背景のボケが「ぐるぐる」になるのも,隠せそうにない。

RICOH DC-2は,一般向けのデジタルカメラとして,まだまだ発展がはじまったばかりのころのものである。いまとなっては,使いにくい面,物足りない面もいろいろあるが,当時としてはよくできているほうではないだろうか。


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