撮影日記


2021年06月25日(金) 天気:晴ときどき曇

オオムラサキの里

広島県での緊急事態宣言は解除され,7月11日までの予定で独自の集中対策期間に入ることになった。飲食店など人が集まるところに求められていたさまざまな要請は緩和されることになる一方で,外出機会の半減や県をまたぐ移動を最大限に自粛することなどが,ひきつづきすべての県民に求められることになる。
 そうはいっても,不要不急ではない用事というものはどうしても発生,府中市まででかけていた。府中市といっても,東京都府中市ではない。広島県府中市である。広島市は広島県の西の端に近く,府中市は東の端に近い。形として,県をまたく移動は自粛していることになるが,それなりの移動距離ではある。
 広島県府中市に,「オオムラサキの里」と称する場所があることは,以前から気になっていた。オオムラサキは,日本昆虫学会により日本の国蝶(国を象徴するチョウ)ということにされている,大きめのチョウである。「オオムラサキの里」では,このチョウの幼虫の餌になるエノキを植樹したり,捕食されないように保護ネットで囲うなどの保護活動をしているとのことである。オオムラサキは例年,6月中旬から7月初めにかけて蛹から羽化し,多くの成虫が見られるようになるとのことである。
 今日あたりは「オオムラサキの里」を訪れるのに,ちょうどよい時期である。

府中市の市街地を抜けて国道486号線を西のほうへすすむと,JR福塩線の踏み切りを渡ったところに「国蝶オオムラサキの里」へ2.7kmという案内看板が目にはいる。その指示にしたがって,左へ入る。周辺の集落へいたる分かれ道も多いが,要所要所に「オオムラサキの里」への案内表示が設けられているので,迷うことはない。道はしだいに狭くなり,山の中へ入っていく。また,カーブが多くて見通しも悪いが,幸い,対向車と出会うことはなく,無事に「オオムラサキの里」の駐車場とされる場所に到着する。
 下のほうに立派そうな建物が見えるので,そこへ降りてみた。しかし,人の気配はなく,廃墟と化した遊園地の入り口のような雰囲気である。周辺にネットに覆われた区画があるので,そこもオオムラサキの保護に使うことがあるのだろうが,今日はそこにはいないようだ。
 駐車場から上のほうへ上がってみると,こちらにもネットで覆われた区画がある。いまはそこで,羽化をさせている状況であった。ネットのなかに入らせてもらう。オオムラサキの羽音は大きく,これが群れているさまは見ごたえがある。そして,背中を見せてくれると,その紫色の美しさがわかる。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

管理している人に,「もうすぐ羽化しそうな蛹がある」と教えていただくが,残念ながら思ったほど順調には,羽化がすすまないようだった。雲の動きが早く,蛹に日光があたったり陰ったりする。ずっと日光があたっていれば,予想通りに羽化するはずなんだけど,という説明があった。
 来年以降も,タイミングがあえば,訪れてみたい場所である。


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