撮影日記


2021年05月29日(土) 天気:晴

印画紙と超広角レンズで撮るアマリリス

広島は,5月16日より緊急事態宣言の対象になった。その期限は5月31日までとなっていたが,今朝の新聞では,その期間を6月20日まで延長することが決まったと報じられていた。なお,店舗への休業要請などについては,一部を変更するとのことである。

今月は,私的な時間の多くを,Kodak DCS 460に関するいわゆる「うすい本」(同人本や自主制作本などともよばれる)の制作に費やしてきた。「Kodak DCS 460/420 ハンドブック」として,ようやく,印刷・製本を依頼したところである。
 世間には,カメラに関するさまざまな書籍が流通している。最新機種からクラシックカメラまで,あるいは,トイカメラから高級機まで,じつに多種多様の書籍が流通している。しかし,amazonやYahoo!オークション,あるいは「日本の古本屋」などを検索しても,Kodak DCS 460を書名にだした書籍類を見かけることがない。ないのであれば,自分自身の覚え書きのような意味も含めて,自分でつくってみようと考えたものである。また,実際に使ってみた結果や,そのほかにわかったことなどをまとめて,情報として共有できるようにしておくことは,Kodak DCS 460を提供してくださったかたへの御礼という意味も含ませている(2016年1月14日の日記を参照)。
 Kodak DCS 460をおもに扱う書籍を見つけられないのと同じくらい,木製組立暗箱をおもに扱う書籍も見かけない。とくに,古典的なカビネ判などの組立暗箱は,ほとんど話題にもされていないように見える。「大判カメラ」「大判写真」を取りあげたムック,参考書,教科書的なものは少なくない。そこに,木製組立暗箱という文言が見られることはあっても,タチハラやナガオカのような近年の4×5判におもに対応した製品や,ディアドルフのような舶来高級製品をとりあげ,「大判カメラにはこのようなものもある」のように扱われるものしかみかけない。だから,木製組立暗箱についても,自分自身の覚え書きのような意味も含めて,いわゆる「うすい本」をつくっている。
 Kodak DCS 460に関する「うすい本」の制作にひと段落ついたので,こんどは木製組立暗箱に関する「うすい本」の制作に取り組む番である。

木製組立暗箱といっても,いろいろと種類がある。いま,わたしが取り扱っているものは,「四つ切1/2」判とよばれるものである。四つ切サイズ(12インチ×10インチ)を半分にしたサイズ(6インチ×10インチ)で,シネスコ判というよびかたもあるそうだ。いまはこれに,120mmレンズを組みあわせていろいろと撮りためつつある(2020年6月13日の日記を参照)。

120mmレンズを四つ切1/2判で使うと,ライカ判での18mmレンズくらいに相当する超広角レンズとして使うことになる(縦横比が異なるので,厳密には一致しない)。そのかわり,蛇腹をぐんと伸ばして,被写体に激しく接近することができる。FUJINON SW 120mm F8のイメージサークルは,四つ切1/2判に対してはギリギリの大きさ(無限遠にピントをあわせたとき)しかないが,接写の場合はイメージサークルに余裕が生じるのが好都合である。

M.S.K. camera with OKUHARA back, FUJINON SW 120mm F8, FUJIBRO WP FM2

ちょうど,アマリリスの大きな花が咲いている。この花はあまりに大きいので,四つ切1/2判という大きなフォーマットでも,ほぼ等倍の撮影を楽しめる。ただ,赤い花を,赤色に感度のない印画紙で撮影すると,コントラストが強くなりすぎてしまう。だからなおさら,等倍に近い接写をして,蕊を目立たせるように考えて撮ったものである。


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