撮影日記


2020年06月13日(土) 天気:雨

四つ切1/2判で120mmレンズを使ってみる

組立暗箱では,いろいろなレンズを使うことができる。レンズを選択するときにたいせつな要素として,イメージサークルの大きさがある。レンズを通った光は円形の像を結ぶが,この大きさがイメージサークルの大きさとなる。イメージサークルの大きさがじゅうぶんでないと,画面の隅がケラレることになる。四つ切1/2判で撮る場合,ホルダに入れるフィルム(私はずっと,印画紙で代用している)の大きさは251mm×151mmにしているので,対角線の長さは約293mmである。ただし,写らない縁の部分があるので,実際に写る部分の大きさは243mm×141mmとなり,このときの対角線の長さは約280mmである。したがって,イメージサークルの大きさが280mm以上のレンズを使う必要がある。
 一昨年,FUJINONの180oレンズと120mmレンズとを貸していただいた(2018年10月21日の日記を参照)。この間に,180mmレンズでいろいろ撮影したので,つぎはもっぱら120mmレンズで撮影することにした。180mmレンズはお返しするとして,120mmレンズはもうしばらく使わせていただこうと思う。

しかし,今日は雨である。ときおり,激しく降ることもある。しかたないので,室内で試し撮りをはじめることにした。それでも,少しでも明るさを求めて窓際で撮ろうと考えたが,それでも明るさが足りない。F22で約30秒の露光としている。

M.S.K. camera with OKUHARA back, FUJINON SW 120mm F8, FUJIBRO WP FM2

四つ切1/2判での120mmレンズというものは,まさに超広角レンズとして使うことになる。画面中央に写る箒(ほうき)までの距離は,一般的なサッシ窓の1枚分,1mそこらである。それでいてこの遠近感だ。被写体に寄って使う超広角レンズは,ともかく楽しいのである。
 このレンズのイメージサークルの大きさは,290mmである。だから,四つ切1/2判でも,なんとかカバーして使うことができる。また,この場面では四隅が暗いので,ケラレがあってもわからない。さらに,イメージサークルの大きさとして示されている値は,絞りがF22で無限遠にピントをあわせたときのものである。近接撮影しているこの状態では,イメージサークルはさらに大きくなってゆとりがある状態なので,問題なく撮れている。

しかし,遠方のものを撮るときには,イメージサークルの大きさにゆとりがなくなるので,シビアに調整しないとケラレが生じることになる。

レンズのライズ/フォールを調整する必要があるのだが,このとき,蛇腹は徹底的に縮めている。八つ切サイズの組立暗箱(M.S.K.)と組みあわせて使っている,四つ切1/2判のバックアダプタ(OKUHARA)は,フィルムホルダの位置を数cm下げている。焦点距離がきわめて短い120mmであるうえに,フィルムホルダの位置を下げるのであるから,後枠をめいっぱい前に出し,前枠をめいっぱい後ろに下げても,まだ足りぬ。そこで,本来はベースに対して垂直にして使う前支柱を手前に倒すことで前枠の位置を下げている。そのうえで前枠のスライド部を動かしてレンズをライズし,レンズボードとフィルムホルダが平行になるようにしなければらならいが,蛇腹を徹底的に縮めた状態なので,それらを動かしにくくなっているのである。結果として,少しケラレが生じてしまったようなのである。
 撮影にはなにかと苦労しそうなレンズであるが,ともかく,超広角レンズで撮るのは楽しいのである。このレンズをうまく使えるように,慣れていくしかないのである。


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