撮影日記


2020年05月26日(火) 天気:晴

ちょっとマヌケな縦位置撮影スタイル

レンズを装着するボードと,フィルムホルダを装着するボードとが蛇腹で連結されており,撮影しないときは折りたためるタイプのカメラは,組立暗箱とよばれる。大判カメラでは古くからあるスタイルであると同時に,ほとんどかわらない姿で,近年でもあたらしくつくられることのあるカメラだ。
 カメラそのもののしくみはシンプルなもので,レンズはどんなものでも装着することができる。フィルムにピントをあわせることができ,じゅうぶんな広さのイメージサークルがあってフィルムにケラレのない像を結ぶことができるなら,大判カメラ用レンズではなく引き伸ばし機用のレンズを使ってでも撮影ができる(2020年5月25日の日記を参照)。
 レンズだけではなく,フィルムホルダを装着する部分を交換して,もさまざまなサイズのものを使うことができる。たとえばこの組立暗箱の場合,バックアダプタの面積ほぼいっぱいの八つ切サイズが基本であるように見える。

カメラに対してやや小さくなるが,カビネサイズ用のホルダを使うこともできる。

バックアダプタさえあれば,4インチ×5インチ判用のホルダを使うこともできる。こうしてみると,シノゴというのは,大判カメラのなかでは小さな部類であることを実感できる。

バックアダプタは正方形であるため,90度回転した状態で装着することも可能である。カメラを固定したまま,横位置の構図と,縦位置の構図で撮ることも可能となる。

カメラよりも小さい判のフィルムホルダが使えることは,容易に想像ができる。一方でこのカメラには,カメラよりも少し幅の広い,四つ切1/2サイズのフィルムホルダが使えるアダプタが用意されていた。これは,カメラの後部を少し延長するような構造になっている。

210mmや180mmというレンズは,このサイズのカメラでは短焦点なレンズである。したがって,遠距離にピントをあわせるときは,蛇腹をずいぶんと縮めた状態になる。四つ切1/2サイズで撮るときは,アダプタでカメラの後部が延長されるため,さらに蛇腹を縮める必要がある。
 レンズボード側を後ろに下げるだけでは追いつかず,フィルム側を前方にさせる必要が生じる。バックアダプタがベースボード上に位置することになり,幅の広い四つ切1/2サイズのバックアダプタを縦位置にさしかえることができなくなる。

このカメラに180mmレンズを装着して四つ切1/2サイズで縦位置の写真を撮ろうとすると,カメラそのものを90度たおさなければならない。この状態は見た目もマヌケであるし,かなり不安定である。撮影は迅速におこなわねばならない。

OKUHARA camera, FUJINON W 180mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

細長いフォーマットを縦位置で撮ると,広角レンズであることとあわせて,高さが誇張されて見えるのが意外と新鮮で楽しい。


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