撮影日記


2020年04月04日(土) 天気:晴

FUJI FinePix S1 Proでチューリップを撮る

サクラの花が満開をすぎると,自宅に植えたチューリップが撮りごろを迎えはじめる。2016年秋から「球根ガチャ」と称する,さまざまな色や品種のものが混ざった100球セットを買って植えるようにしていた(2016年11月13日の日記を参照)。昨年は残念ながら「球根ガチャ」という販売方法がなくなったので,8色のものが10球ずつセットになったものと,変わり咲きのもの3種類が10球ずつセットになったものを買った。さらに,花が咲き終わったあとに球根がうまく育ってくれたものも植えている。これら100球以上のチューリップが,咲きはじめている。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

今年はもっぱら,FUJIFILMから発売されたデジタル一眼レフカメラ,FinePix S1 Proで撮ることにする。2000年に発売されたもので,デジタル一眼レフカメラとしてはかなり早い時期のものである。撮像素子は,300万画素クラスのものだが,独特の方法で600万画素の画像として記録するようになっている。発売時のメーカー希望小売価格は375,000円で,「600万画素のデジタル一眼レフカメラに手が届くようになった」と思ったものである。前年に発売されたNikon D1は,270万画素で650,000円であった。それ以前にKodakやFUJIFILMから発売されていたデジタル一眼レフカメラは,100万円をこえるようなものだった。それらに興味をもちながらも,とても手を出せる状況ではなかった。それに対してFUJI FinePix S1 Proは,実際に購入することができそうなものだったのである。ただ,いろいろな事情が重なって,発売時には購入しそこねてしまった。それを昨年になってようやく,入手したものである(2019年6月6日の日記を参照)。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

FUJI FinePix S1 Proの魅力は,初期設定のままで鮮やかな色合いのJPEG画像が得られることになる。もともと,このカメラに対して感じていた魅力は,価格だけであった。母体となるカメラがエントリーモデルのNikon F60であることから(2019年6月16日の日記を参照),上質な操作感や高い機能は期待していない。しかし,実際に撮ってみると印象ががらりとかわる。
 上級機のファインダーの見えぐあいは,とても快適である。それにくらべれば見劣りするかもしれないが,FUJI FinePix S1 Proのファインダーが不快かといえば,そんなことはない。撮像素子はいわゆるAPS-Cサイズであり,それにあわせてファインダーは狭いが,使うのが苦痛になるかといえば,そんなことはない。じゅうぶんに,使えるものである。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

連写性能もたいしたものではなく,シャッターの動作はややのんびりした印象を受ける。しかし記録されるデータが大きくないこともあってか,動く被写体を追うのでもなければストレスがたまることもない。カメラのボディはNikon F60をそのまま利用しているので,レリーズするたびにフィルムを巻き上げるモーターの音と振動が伝わってくるのは,愉快である。デジタルカメラで撮影しているにもかかわらず,フィルムカメラで撮影している感覚が得られるのだから。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

FUJI FinePix S1 Proに対して,不満がまったくないわけではない。最大の不満は,感度の設定にある。低いほうの感度は,ISO 320までしか設定できない。シャッター速度の速いほうが1/2000秒までしかないので,やはりISO 100が設定できないと,強い日ざしのあたっている被写体を撮るときに,開放絞りが使いにくくなる。ND4フィルタで減光しても,F2.8レンズの開放では,ときおり露出オーバーになってしまう。
 カメラとしての本質はエントリーモデル機であり,デジタルカメラとしては画素数が見劣りするものになっているわけだが,FUJI FinePix S1 Proが出力してくれるJPEG画像の色合いは,魅力的なものである。総合的に見れば,いまでも使い続ける理由は,じゅうぶんにあると考えている。


← 前のページ もくじ 次のページ →