撮影日記


2020年01月22日(水) 天気:曇のち雨

日付写しこみ機構には
そもそも寿命がある

フィルムカメラには,撮影したときの年月日をフィルムに記録できる,日付写しこみ機構が設けられているものがある。古くからあるダイアルで年月日を設定するタイプのカメラでは,撮影する前にその日の年月日にあわせなければならない。それに対して「オートデート」(あるいは「クォーツデート」)タイプのカメラは,自動的に撮影の年月日が設定されるようになっている。
 オートデート機能は,自動的に写しこむ日付が変更されるので,便利である。しかし,その日付は,永遠に更新されるわけではない。「2019年まで対応」と示されている機種の場合,年月日が「19.12.31」までは表示されるが,その翌日に「20.01.01」にはならず,たとえば「93.01.01」のように,その機種の初期値にもどってしまう。ダイアルで年月日を設定するタイプのカメラでは,数字を100個も用意することが困難だろうと想像できる。しかし,クォーツ時計を利用したオートデート機構のカメラでは,カレンダー部分のプログラムをなんとかすれば対応できるのではないか?と思うのである。わざと,製品としての寿命を設定しているのではないか?と,うがった見方をしてしまうこともある。
 実際には,カメラ本体も永遠に動作するわけではない。いつかは,故障して,修理も不能になる。ただ,オートデート機構が対応しなくなっても,まだカメラ本体が使えるというケースが多いようなのである。しかし,忘れてはならないことが1つある。カメラ本体だけでなく,オートデート機構そのものも,いずれ故障する可能性があるということだ。

オートデートタイプのカメラには,クォーツ式のデジタル時計が組みこまれている。現在の年月日(あるいは日時分)は,背面や上面に設けられた液晶ディスプレイに表示されているのを見て,確認することができる。裏蓋を開いてみると,圧板のところに小さな窓があけられていることがわかる。

ここの奥には,小さなデジタル時計の液晶ディスプレイが置かれている。

この液晶ディスプレイの後ろ側には,照明用の小さな電球がある。この小さな電球(麦球)によって背面から照らされることによって,液晶ディスプレイに表示される年月日(あるいは日時分)が,圧板の小窓を通してフィルムに焼きこまれることになる。

このカメラの場合,液晶ディスプレイのところに反射板があり,電球の光はそこで反射されて,液晶ディスプレイを背面から照らすことになる。そして,液晶ディスプレイを透過した光がフィルムに焼きこまれることになる。

液晶ディスプレイや電球には,寿命というものがある。長く使われるなどして,液晶ディスプレイが正常に表示されなくなると,フィルムに焼きこまれる文字が乱れたものになる(2013年12月26日の日記を参照)。

また,日付写しこみ用の液晶ディスプレイを照らす電球が暗くなったり点灯しなくなったりすると,焼きこまれる日付の文字が薄くなったり,ほとんど焼きこまれなくなったりする。

日付写しこみ機構が正常に動作しなくなっても,ピントと露出をあわせてフィルムに画像を記録するという,カメラ本来の機能には影響がない。日付写しこみ機構を使わないのならば,カメラはなんの問題もなく使用できる。
 この件についての大きな問題は,日付写しこみ機構が正常に動作しているかどうかは,実際に撮影し,現像しなければわからない,ということである。日付を写しこむための液晶ディスプレイの動作は,まったく独立したものである。そのため先にも書いたように,ここの動作に問題が生じても,カメラの動作そのものにはなんら影響を与えない。また,背面などにある液晶ディスプレイも独立したものなので,ここの表示が正常だからといって,日付写しこみ機構も正常だとはかぎらない。


← 前のページ もくじ 次のページ →