撮影日記


2019年07月13日(土) 天気:曇のち雨

リングボケフィルタ

超望遠レンズのなかには,レフレックスレンズ(あるいはミラーレンズなど)とよばれるものがある。レンズだけでなく反射鏡を用いた構成になっており,焦点距離のわりに全長の短いコンパクトな超望遠レンズが実現でき,色収差が目立たないというメリットもある。その一方で,ボケがリング状になり,きわめてうるさく感じることがある,という問題点もある。
 レフレックスレンズを正面から見ると,奥に鏡があることがわかるだろう。そして,レンズ正面の中央に,黒い丸い部分が見える。レンズの正面から入った光は奥(カメラ側)にある凹面鏡で反射し,この黒い部分の裏側にある凸面鏡でさらに反射して,カメラのほうへ導かれる。レンズの中で光が1往復半するために,全長を短くすることができている。そして,この黒い部分中央部分の光をさえぎっているために,ボケがリング状になってしまうのである。

リング状のボケが画面内にたくさん生じると,とてもうるさく感じる。しかし,その量がわずかであれば,かえって画面内にアクセントをつけることも可能だと思っている。レンズの前につける保護フィルタに,黒い丸いシートを貼りつけてやれば,簡単にリングボケの効果を得ることができる(1998年5月16日の日記を参照)。

 

多くのレフレックスレンズは,500mmや1000mmなどの超望遠レンズなので,中望遠レンズや標準レンズでリングボケの効果を利用したいならば,このような「リングボケフィルタ」をつくるのが手っ取り早い。ただし,超望遠レンズだからボケがリング状になっていることが目立つのであり,中望遠レンズや標準レンズではボケそのものが小さくて,目立ちにくいことになる。

だから,接写で利用するのが具合がよい。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

アサガオの花に,水滴がついていた。蕊にピントをあわせ,開放で撮れば,手前の水滴はぼんやりしたボケになって,存在が目立たない。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

そこで,リングボケフィルタを併用すると,水滴のボケがリング状になる。強い日差しがあたっていないような場面でも,水滴の存在が目立つようになる。

なお,リングボケフィルタを使うときは,レンズはつねに開放を使う。絞りこむと,フィルタに貼りつけた黒い丸いシートが,はっきりと写りこんでしまう。

撮る写真が,我がことながらワンパターンに感じるようになったら,このような小技を使って変化を与えるのも,気分がかわってよいものである。

Kodak DCS Pro 14n, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

ただし,濫用するとすぐに飽きるし,なによりも,画面がうるさくなってしまうだろう。

Kodak DCS Pro 14n, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

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