撮影日記


2019年07月07日(日) 天気:晴

FUJI FinePix S1 Proを使えばフィルム巻き上げの音がする

毎朝のように,アサガオが咲く時期になった。今日は,動作を確認できたFUJI FinePix S1 Proで撮ることにする。レンズは,AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8Sを使う。FUJI FinePix S1 Proのカメラ部分は,Nikon F60Dと同等のもの,いや,そのものである(2019年6月16日の日記を参照)。つまり,使用するレンズには,つぎのような制約がある。

・電気接点のないマニュアルフォーカス用レンズでは,露出計が動作しない。

・レンズにAF用のモーターが入ったタイプのレンズでは,AFが動作しない。

AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8Sは,Nikon F60DすなわちFUJI FinePix S1 Proでフルに機能を利用できるタイプのレンズなのである。

もっとも,等倍近い状態での接写になるので,もっぱらマニュアルフォーカスで撮影することになる。
 FUJI FinePix S1 Proは,よくも悪くもNikon F60Dそのものだ。ファインダーも,よくも悪くもNikon F60Dそのもの。上位モデルであるNikon F80やNikon F90にくらべると,ややピントがわかりにくく感じる。しかし,とくにNikon F80とくらべると,ファインダースクリーン上に中央以外の測距点や格子が表示されていないなど余計な情報がないという点では,Nikon F80よりスッキリしていて,よい。

FUJI FinePix S1 Proのボディ内部には,Nikon F60Dの巻き上げ機構が存在している。それは単に存在しているだけでなく,実際に動作しており,シャッターレリーズを実行するたびに,きちんと巻き上げ動作をおこなっている。デジタルカメラでありながら,レリーズするたびにモーターによる巻き上げ音があるのは,じつによいものだ。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

FUJI FinePix S1 Proの魅力は,撮り心地だけではない。
 とくに設定をしなくても,このような色合いのJPEG画像を出力してくれる。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

実物にくらべて,あまり違和感を感じない色。それでいて,明るく鮮やかな印象の色である。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

影になる部分の色も,不自然に感じない。影にならない部分については,実物以上に鮮やかな印象の色になる。

FUJI FinePix S1 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

Velviaとはまた方向性の違う,鮮やかな色だと感じる。

FUJI FinePix S2 Proだと,どんな色になるだろうか。撮りくらべてみよう。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

FUJI FinePix S1 Proにくらべると,ややこってりした色合いの画像が得られた。強いて言えば,こちらはVelviaっぽい印象を受ける。ただし,これくらいの差であれば,露出をややアンダー目にしたり,逆にややオーバー目にしたりすることで,印象がかわってくるだろう。
 FUJI FinePix S2は,中級機であるNikon F80相当のボディで,600万画素の撮像素子で撮影し,1200万画素の画像として出力する。一方,FUJI FinePix S1 Proは,エントリーモデルであるNikon F60D相当のボディで,300万画素の撮像素子で撮影し,600万画素の画像として出力する。得られる画像のスペックも,カメラ自体のスペックも,FUJI FinePix S1 Proのほうがかなり低いものである。それでも,画素数やカメラ自体の性能がふじゅうぶんではない条件ならば,より鮮やかな画像がほしいときに,積極的に選んで使用することも,じゅうぶんに考えられる。

一方で,FUJI FinePix S2 Proには,多重露光をおこないやすいというメリットもある。

たとえば,まず,花の中央付近にある水滴にピントをあわせた状態を撮る。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

つぎに,手前の葉にピントをあわせ,花の部分は完全にボケにした状態を撮る。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

このようにして撮った2つの画像を撮影後に合成するのではなく,これらのピントの位置で多重露光をすると,このように,手前の葉にも花の中央付近の水滴にもピントがあった画像になる。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

絞りこんで被写界深度を確保する方法で撮った場合は,葉と水滴の間の部分も明瞭に写ることになるので,また雰囲気が違ってくる。また,それぞれピントがあっている部分に,ボケた状態の画像が重なっているので,軽くフレアを生じたようにもなり,いわゆるソフトレンズを使って撮ったような効果も得られる。
 なお,適正露出で2回露光するとかなりオーバー目になるので,ここでは1回1回の露光は,-0.5EVのややアンダー目の露出値にしている。

FUJI FinePix S2 Proは,あまり速写性をアピールするようなカメラではない。それでも,FUJI FinePix S1 Proにくらべれば,けた違いの軽快さを感じる。単に動作が速いだけではなく,フィルムを巻き上げるモーターの音がしないからという影響も,きっとそうとうに大きいものと思う。


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