撮影日記


2019年05月16日(木) 天気:晴

ニコンD1に不満はあるか?

デジタルカメラの性能をあらわす数値には,いろいろなものがある。もっともわかりやすいものの1つに,撮像素子の画素数というものがある。「この数値が大きいほど,細かいところまで写るから,きれいな画像になるよ」と言ってしまえば,だれもがそれなりに納得できるものである。
 撮像素子の画素数だけを見れば,Nikon D1は,とてもものたりないものに感じられるだろう。たとえば現行のエントリーモデル Nikon D3500の撮像素子は,2400万画素というものである。Nikon D1のおよそ10倍だ。

このたび入手したNikon D1(2019年5月14日の日記を参照)の試し撮りをおこなっている。受け取った当初は,高速シャッターが開かないという不具合を示していたが,しばらく動かしているうちに,問題なくスムースに動くようになってきた。ただしこれは,長く使われていなかったために動作が渋くなっていただけのことを示しているのか,すでにそうとうに使いこまれていて,シャッターユニットが寿命を迎えつつあることを示しているのかは,判断がつかない。外見がそれほどくたびれているようには見えないので,動作が渋くなっていただけであることを,期待している。

Nikon D1, AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6D

Nikon D1のカメラ部分は,フィルムカメラの高級モデルNikon F100に相当するものとのことだ。そのためか,ファインダーが心地よい。ライカ判より小さな撮像素子を採用するNikon D1であるが,ファインダーはその小ささを感じさせない。なにより,ピントがあっているかどうかが,すっとわかる。シャッターの動作は機敏で,連写も可能である。

Nikon D1, AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6D

カメラまかせのAE撮影でも,期待した露出の画像が得られた。
 夕方の低い光線は,あらゆるものをドラマチックに見せてくれると思っている。ただし,光の具合が都合よい時間は,ごく短い。

Nikon D1, AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6D

だから,夕方の街を,やや足早に歩く。
 Nikon D1は,コンパクトさを重視した機種よりは大きいカメラである。しかしその大きさ,重さがあるから,カメラをかまえたときに,ほどよく安定してくれる。

Nikon D1, AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6D

持ち歩くのが苦痛に感じるほど大きく,重いとは思わない。まさに,ほどよい大きさ,重さなのである。

Nikon D1, AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6D

製品というものは,日々,改良が加えられていると考えてよい。改良の結果が,数値などわかりやすい形で表現できるスペックに反映される場合もあるだろうし,販売時の価格低下に反映される場合もあるだろう。消費者にはわからないが,生産者にとって効率的になるような改良がされる場合もあるだろう。
 とくにデジタルカメラでは,その傾向が顕著に感じられていた時期があった。モデルチェンジのたびに,撮像素子の画素数が増え,高感度に設定できるようになり,内蔵されたレンズの焦点距離が伸びていくのである。フィルムカメラの時代には,最高級機を買っておけば,軽く10年は最高の性能を楽しめたという印象がある。しかしデジタルカメラでは,去年の最高級機種よりも今年のエントリーモデルのほうが,数値上のスペックが上回っていることも珍しくない。
 しかし,デジタルカメラの性能は,画素数だけで語られるべきものではない。実際に撮影するときの撮り心地も,重要な要素である。
 Nikon D1を使うことで,そのようなことをあらためて意識させてくれる。
 最終的に目的とする出力が260万画素でじゅうぶんならば,撮り心地のよさを重視して気持ちよく撮影をおこなうのもよいことである。つまりまだまだ,Nikon D1を現役で使っても,問題ないはずだ。

デジタルカメラでも,旧モデルの高級機というのは,じゅうぶんに現実的な選択肢なのである。


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