撮影日記


2019年04月09日(火) 天気:晴のち雨

Kodak DCS 460をSCSIで接続する

デジタルカメラが広く普及するきっかけになった機種として,CASIO QV-10がある。ピントの調整はなく(ノーマルモードと接写モードの切り替えはあるが,基本は固定焦点),撮像素子の画素数も25万画素でごく少ない。画質の面ではまったく不十分なものの,撮影した画像をすぐに見ることができる液晶モニタが内蔵されたことと,パーソナルコンピュータに画像を取りこんで利用するための接続端子が設けられたことが,多くの人に支持された理由とされている。もちろん,多くの人に手が届く価格が実現されていたことは,言うまでもない。
 デジタルカメラで撮影した画像を利用するには,なんらかの方法で画像ファイルをコンピュータに取りこむ必要がある。ごく初期の機種や一部のトイカメラを除けば,多くのデジタルカメラは交換可能なメモリカードに撮影した画像を記録する。カードリーダをコンピュータに接続すれば,カードに記録された画像を取り込むことができる。
 また,デジタルカメラ設けられているデジタル入出力端子を使ってコンピュータと接続し,記録されている画像を取りこむ方法もある。最近の機種にはUSBという規格の端子が設けられており,コンピュータ側のUSB端子と接続できるようになっている。
 USBの規格は1996年に制定されており,コンピュータで広く使われるようになったのはWindows98が発売された1998年ころ以降のことになる。したがって,そのころより前に発売されたデジタルカメラは,USB接続に対応していないことになる。そのようなデジタルカメラに設けられていたデジタル入出力端子は,シリアルポートを利用するものか,あるいはSCSIという規格のものだった。

Kodak DCS 460は,1994年に発売されたデジタル一眼レフカメラのシステムである。したがって,USB接続には対応していない。記録メディアとしてPCMCIA規格のハードディスクドライブやメモリカードが使えるようになっているので,カードリーダを利用して画像を取り込むことができる(アダプタを使ってCFカードを使うこともできるが,相性の問題で使えないカードも少なからず存在する。2016年4月9日の日記を参照)。だから,USB接続ができないからといって,実用上の問題はない。

しかし,Kodak DCS 460を使う上で,解消しておきたい大きな問題が1つある。

デジタルカメラで撮影した画像ファイルには,レンズの焦点距離や露出条件などのさまざまな情報が付加されている。とくに,撮影日時が記録されるのは,あとから整理するときに役に立つ。ところがKodak DCS 460の本体には,日時を調整する機能が用意されていない。バッテリをはずすと(Kodak DCS 460のバッテリは,本体に内蔵されている),Kodak DCS 460内の時計がリセットされる。バッテリをつなぎなおしたとき,時計は1990年1月1日0時0分0秒になり,そこから時間を刻んでいく。
 この時計を調整するには,Kodak DCS 460をコンピュータと接続して,カメラを制御するソフトウェアを利用する必要がある。
 Kodak DCS 460に用意されているデジタル入出力端子は,SCSI規格のものである。したがって,SCSI端子のあるコンピュータを用意しなければならない。以前はイメージスキャナも,ハードディスクも,CD-RWドライブなどもみんなSCSI端子で接続していたが,最近はそれらすべてUSB端子で接続するようになっている。古いコンピュータで使っていたSCSI関連のインタフェースボードやケーブルなどは,何年も前にすべて廃棄してしまっていた。

まずは,コンピュータにSCSI端子を復活させなければならない。
 まず,PCIバス用のSCSIボードをインターネットオークションで入手した。接続ケーブルも付属していたが,Kodak DCS 460のSCSI端子と形状が異なる。

入手したSCSIボード

入手したSCSIボードおよび付属していたケーブルの端子は,「SCSI標準ハーフピッチ(ハーフピッチ50ピン)コネクタ」というものである。

SCSIボードの端子

それに対して,Kodak DCS 460のSCSI端子は,「D-Sub 25ピンコネクタ」というものである。したがって,端子の形状を変換するためのアダプタが必要だ。

DCS 460のSCSI端子

こんなこともあろうかと入手しておいたアダプタは,端子のオス,メスの関係が逆だったので,今回の用途には適していない。

変換コネクタ

あらためて,「SCSI標準ハーフピッチコネクタ−D-Sub 25ピンコネクタ」になっているSCSIケーブルを入手し,ようやくKodak DCS 460とコンピュータを接続できるようになった。いずれもインターネットオークションで入手したものであるが,競合者があらわれずに開始値で落札できたことは,運がよかったと思う。

Kodak DCS 460が発売されたころに使われていたコンピュータは,WindowsであればWindows 3.1かWindows 95であろう。だから,Windows 95をインストールしてあるNEC PC-9821V10を使うことにした。どうせなら当時のMacitoshを使うことがいちばん楽しいのかもしれないが,私はもっていないのだから,しかたない。

DCS 460とPC-9821V10をつなぐ

必要なソフトウェアは,KodakのWebサイト(*1)からダウンロードできる。ダウンロードする必要があるドライバソフトは,「DCS TWAIN Data Source v5.9.3」と「DCS File Format Module v1.2.2」の2つである。これらは,Adobe Photoshopのプラグインソフトなので,同じ時代のAdobe Photoshopも必要になる。
 あわせて,「ファームウェア 6.9.8」もダウンロードしておこう。

Windows95起動画面

ずっと以前に使っていたSHARP JX-250というイメージスキャナ(2015年12月20日の日記を参照)に付属していた,Adobe Photoshop LE-J (Adpbe Photoshop 3.0Jの廉価版)を使うことにする。

Adobe Photoshop LE-J起動画面

ダウンロードしたドライバソフトをインストールしておけば,TWAIN対応機器としてKodak DCS 460が認識される。

TWAIN機器を呼び出す

いちおう補足しておくと,SCSI機器はコンピュータを起動させるときに接続されていないと(さらに電源がONになっていないと)認識されない。USB接続に慣れていると,こういうことを忘れがちである。

CameraControlを呼び出す

Camera Controlのアイコンをクリックすると,Camera Controlのウィンドウが開く。

CameraControlウィンドウ

Camera Controlのウィンドウで,Camera Settingの「Set Clock」ボタンをクリックすると,このときのコンピュータの時計が,Kodak DCS 460に反映される。Kodak DCS 460の時計を調整するには,このような面倒な手続きが必要なのである。
 あわせて,「Load Camera Firmware」ボタンをクリックすると,ファームウェアも更新される。

この手順で,Kodak DCS 460に記録されている画像を開くこともできるはずなのだが,「460-1736.calファイルがない」ので,画像を開くことができない。このファイルは,Kodak DCS 460を購入したときに付属しているフロッピーディスクに入っているそうだ。残念ながら,このファイルを入手する術はなさそうである。
 これだけの手間をかけたのだが,あらたにできるようになったことは,Kodak DCS 460の時計をあわせることだけだ。たったこれだけのことではあるが,これはKodak DCS 460を使う上で,とても重要なことである。

*1 デジタルカメラ ソフトウェアダウンロード (Eastman Kodak Company, 1994-2006)
http://wwwjp.kodak.com/cgi-bin/JP/ja/professional/kodak_download/download.cgi
「DCS 460/420/EOSxxx/NC2000」の「詳細一覧」を開く。


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