撮影日記


2019年01月04日(金) 天気:晴

折れた撮り初め

今年のフィルムによる「撮り初め」は,久しぶりにゾルキーを使うことにした。どこからどう見ても,ゾルキー(С(エス)型)であるが,軍艦部には「Leica」と刻印されている。バルナック型のライカを詐称した,いわゆる「偽ライカ」の1つである。

約1年前に酢酸で磨いてピカピカにした(2016年11月3日の日記を参照)が,それからほどよく表面が劣化して,いい具合に色づいてきた。持ち出すには,ちょうどよい。

Zorky S, 50mm F3.5, Konica 100

ボディが偽ライカであるならば,購入時にセットされていたレンズも,たぶん同様であろう。「Leitz Elmar」という刻印があるが,おそらくソ連製のIndustarだと思う。正面にシンクロ接点のあるボディは,Leicaには存在しなかったスタイルであり,Zorkyに同様のスタイルのモデルがあることとあわせれば,いかにLeicaと刻印されていても,これがLeicaのモデルではなくZorkyであることは疑いがない。しかしながら,レンズは,そこまで明確なスタイルの差があるのかどうかよくわからない。ソ連のIndustarであれば,ZeissのTessarを模倣したものだとされるようなので,実際に写してみても,まっとうな画像が得られている。

Zorky S, 50mm F3.5, Konica 100

いつものように一眼レフカメラといわゆるマクロレンズとの組みあわせであれば,被写体まで数10cmくらいまで接近できる。だからこういう場面ではきっと,線香の先端を中心に接写をしたかもしれない。しかし,バルナック型のカメラに標準レンズを装着した場合,最短撮影距離はせいぜい1m程度だ。したがって,これくらいの距離で撮ることになる。この日はよく晴れていて背景との明暗差が大きいので,お線香をお供えする人の手がほどよくシルエットになり,鏡餅やみかんなどが逆光に輝く,好都合な撮影条件になっていた。

Zorky S, 50mm F3.5, Konica 100

接写が苦手なシステムであるが,それでも私はできるだけ小さな被写体に接近して撮りたいようである。そのような発想をついついしてしまうから,私はこの種のいわゆるレンジファインダー式のカメラで撮ることを苦手に感じるのだろう。
 「撮り初め」の日に使ったフィルムを含めて,何本かのカラーネガフィルムの現像を,近所のカメラ店に依頼した。そのとき,念のために,バルナック型のカメラを使ったのでリーダー部を切っていることも伝えた。
 受け取りに行くと,いきなり謝罪を受けた。機械のトラブルで,フィルムの途中が折れてしまい,2コマほどが使い物にならなくなってしまったという。リーダー部を切っていたことが原因ではないようではあるが,少々,申し訳ない思いである。
 ともあれ今年は,少なくともフィルムで撮るときは,一眼レフカメラといわゆるマクロレンズの組みあわせをできるだけさけるようにしてみようかと思う。それならば,できるだけこれまであまり使ってこなかったカメラを使いたい。しかし,なにを使おうかと考えると,バルナック型カメラのコンパクトさは,やはり大きな魅力なのである。


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