撮影日記


2018年10月29日(月) 天気:晴

ニコン一眼レフカメラにおけるユーザインタフェース分類の試み

YONGNUO YN 40mm F2.8Nは,私にとってはじつに使いやすいレンズである。
 まず,40mmという焦点距離が絶妙である。広すぎず,狭すぎず,ほどほどだ。
 そして,最短撮影距離が0.3mというのも,都合がよい。手持ちで撮るなら,0.3mも接近できればじゅうぶんである。
 もっともたいせつな,描写具合も悪くない。後ボケは少々うるさい傾向を感じるが,ピントのあったところとそうでないところが思ったよりも明瞭に見えるところがありがたい。
 こんなレンズが,軽くてコンパクト,持ち運びのじゃまにならないのだから,ほんとうに買ってよかったと思っている。

いっぽうで,問題点がまったくないわけでもない。
 少なくともオートフォーカスの動作に関して,完全に互換性が確保されていないようなのである。
 YONGNUO YN 40mm F2.8Nは,AF-SあるいはAF-Iのニッコールレンズに対応したボディで動くだろうと期待していたのだが,必ずしもすべてのボディで動くわけではないようだ。
 YONGNUOは,「フイルムカメラとの互換性がありません」とアナウンスしているが,フィルムカメラでも動くものがある(2018年10月22日の日記を参照)。レンズのファームウェアをアップデートした(2018年10月25日の日記を参照)が,動かなかった組みあわせでも使えるようになった,などの改善は見られない。

さて,ここで注目したいのは,Nikon F80,Nikon U,Nikon U2では(フラッシュの認識で問題があるようだが)ほぼ問題なくオートフォーカスが動作しているように見えるのに対し,それ以前の,Nikon F90,F90X,F70ではオートフォーカスが正常に動作していないことである。Nikon F70とNikon F90は,ボディのダイアルでシャッター速度を設定し,レンズの絞りリングで絞り値を設定するユーザインタフェースをもつ。その後に発売された,Nikon F80は絞り値の設定も,ボディに設けられたダイアルでおこなうようにあらためられた。ユーザインタフェースの面から見れば,F90,F70とF80との間に大きな断絶がある。そして,オートフォーカスを含めたレンズの扱いに対しても,大きな差があるように見える。目に見えるユーザインタフェースだけでなく,内部の処理でも大きな変更をともなっているのだろうか。

このようなことを考えていたら,ニコンの一眼レフカメラのユーザインタフェースを,きちんと分類・整理してみたくなった。
 ニコンの一眼レフカメラは,機種ごとにユーザインタフェースが異なって使いにくい,という評価を聞く。たしかに,同じ時期の同じクラスのカメラでも,ユーザインタフェースが異なっていることがある。しかし,本質的に大きく異なるのは,絞り値の設定を,レンズの絞りリングでおこなうか,ボディに設けられたダイアルでおこなうか,というところではないだろうか。
 そこで,ニコンの一眼レフカメラのユーザインタフェースを,つぎのように分類してみることにした。

ニコン一眼レフカメラのユーザインタフェースの分類(案)
大分類小分類
上面シャッター速度ダイアル
   +絞りリング
A1 目盛あり モード切り替え兼用
A2 目盛あり モード切り替え別途
A3 目盛なし(LCD表示) モード切り替え別途
マウント部シャッター速度ダイアル
   +絞りリング
B1 目盛あり
シャッター速度ダイアル
   +絞りダイアル
C1 2ダイアル 目盛あり モード切り替え兼用
C2 2ダイアル 目盛なし モード切り替え別途
C3 1ダイアル シャッター速度/絞り兼用
モード切り替え別途
その他 その他

Aは,伝統的なインタフェースと言える。
 そのうち,A1は,古くからあるスタイルだ。B1は,シャッターユニットの都合等による変形であり,本質はA1と同じものなので,あえてわける必要はなかったかもしれない。
A2は,A1にマルチモードAE化機能が付加されたもの。A3は,A2のシャッター速度ダイアルを電子ダイアル+LCDにした発展型となる。

Cは,レンズの絞りリングを使わないという,ユーザインタフェースの大改革をしたものだと考える。
 そのうちC1は,LCDを使わないもの。C2は,電子ダイアル+LCDにした発展型。
 C3は,C2のダイアルを1つにした簡略型である。シャッター速度優先AEではシャッター速度ダイアル,絞り優先AEモードでは絞りダイアルとしてはたらくようになっている。マニュアル露出モードではシャッター速度ダイアルとしてはたらくが,絞りボタンを押すと絞りダイアルとしてはたらくようになる。
 Dとしては,Nikon F50を想定している。これは,C3の2ダイアルを2ボタン×2組(=4ボタン)にした変形型とみなすこともできる。もしかすると,あえてわける必要はなかったかもしれない。

B1はA1に,DのNikon F50はC3に統合することにして,各機種をこの分類にあてはめてみた。なお,私自身が使っていないあるいはカタログ等がなくて詳細がわからない機種については,今回は分類を見送った。

ニコン一眼レフカメラ ユーザインタフェースによる分類(案)
分類機種
A1 F, F2, F3, EL, EL2, FM, FM2, nFM2, FM10,FE, FE2, FG, FG-20, F-301, F-501,FE10
Nikomat FS, FT, FTn, FT2, FT3(シャッター速度ダイアルがマウント部)
EM(AE専用・シャッター速度ダイアルなし)
A2 FA, F4
A3 F-801, F-801S, F-601, F-601M, F90, F90X, F70
C1 F-401, F-401S, F-401X
C2 F5, F6, F100, F80
PRONEA 600i
E2, E3
D1, …
C3 F60, U, Us, U2
F50(プッシュボタン2×2組)
PRONEA S
D50, …

このように眺めてみれば,やはりNikon F70は,A系列の最終モデルである。しかし,よく知られているように,Nikon F70のユーザインタフェースは独特で,露出モードの切り替え方法が他機種と大きく異なっている。その特異なインタフェースがなにを意図していたのかは,わからない。ふと,C3のような1ダイアルで絞りダイアルを兼用することを意図していたのかな?と思いついたが,もしそうならばきちんと実装していただろう。
 一方で,YONGNUO YN 40mm F2.8Nの挙動が興味深い。
 AF-Sレンズによるオートフォーカスに対応した機種のうち,F4ではオートフォーカスがまったく動作せず,F90,F90X,F70ではオートフォーカスが動くが正常ではない。そして,F80,U,U2ではオートフォーカスが動作する(ただし,U,U2では,フラッシュがポップアップしないなど,動作は完全ではない)。

ところで,PRONEA 600iもPRONEA Sも,どちらもYONGNUO YN 40mm F2.8Nのオートフォーカスは動作した。これら2機種はC系列である。
 YONGNUO YN 40mm F2.8Nは,A系列のカメラでは正常に動作しないが,C系列のカメラでは動作するようである。

なお,F5,F100での動作については,本体を入手していないために,確認できていない。C系列であれば,動作する可能性があると想像するのだが…。

あくまでも,シャッター速度と絞りの選択に関するユーザインタフェースだけに着目した分類である。このような分類には,いろいろとご意見もあると思うので,お聞かせいただければ幸いである。また,そもそも,このような分類に,意味があるのかどうか,わからない。


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