撮影日記


2018年10月26日(金) 天気:晴のち雨

復活のエクタクローム E100

一般によく使われるフィルムは,ネガフィルムというものである。これは,明るい部分が暗く,暗い部分が明るく写るようになっている。すなわち,明るい部分と暗い部分とが反転した状態の像として,光景が物質に固定されているものである。このネガフィルムを原版として,ネガフィルムに固定された像を印画紙に焼き付けることで,本来の明るさ,色をもった写真ができあがる。
 これに対して,ポジフィルムあるいはリバーサルフィルムとよばれるものがある。これは,本来の明るさ,色をもった像として,光景が物質に固定されたものである。リバーサルフィルムは,スライドプロジェクタを使って投影する目的のほか,印刷物の原稿としてもよく使われた。

カラーネガフィルムとポジフィルム

世界ではじめてカラーリバーサルフィルムを発売したのは,イーストマン・コダックである。改良がくわえられながらさまざまな銘柄が発売され,多くの人に使われてきた。しかしながら,需要の減少等を理由に,すべてのカラーリバーサルフィルムの製造および販売を終了することが,2012年3月1日に発表された(*1)。その結果,日本国内で安定して入手できるカラーリバーサルフィルムは,富士フイルムの製品だけとなった。それも少しずつ,ラインアップが縮小する傾向にあった。
 それから6年以上がたった先月,9月26日のことである。コダックアラリスは,カラーリバーサルフィルム「エクタクローム」の販売を再開することをアナウンスした(*2)。つづいて,2018年10月18日には,販売開始日が10月26日であることがアナウンスされた。この日,ヨドバシ.comでも予約を受け付けるようになった。
 そして今日が,販売開始日。

発売されるエクタクロームは「E100」という名称で,以前発売されていた「E100G」に近いものらしい。さすがに,古典的な「EPN」に近いもの,あるいはやや特殊ともいえる「E100VS」に近いものではなく,スタンダードといえるようなものになるようだ。
 このたび発売されるE100のサイズは,135フィルム(パトローネ入り35mmフィルム)の36枚撮りと,スーパー8(8ミリムービー用)だけである。120フィルムや4×5などのシートフィルムの発売がないことが寂しいが,一定の売れ行きがあれば,将来的にそれらのサイズも再発売されることを期待したい。ともあれ,フィルムの選択肢が増えることは,ありがたいものである。

ヨドバシ.comで販売されているカラーリバーサルフィルムのラインアップをあらためて眺めてみると,先週までは富士フイルムが発売するVELVIAの50と100,そしてPROVIAという,わずか3種類しかなかったことに愕然とする。そこに,E100が加わったことは,とても大きな出来事なのである。
 発売されたE100の価格は,1本1990円である(135-36)。VELVIA 100 NPの価格,1本1220円とくらべると,いささか高く感じるだろう。
 参考までに過去の注文を確認してみると,2015年4月まではVELVIA 100 NP (135-5)の5本パックを4480円で買っていた。1本あたり,896円だ。このころはまだ,1本1000円以下で買えていたようだ。なおこの後は,ディジタル一眼レフカメラを多く使うようになり,カラーリバーサルの135フィルムを買っていない(120フィルムは,この後にも買っていた)。
 数年前とくらべても,フィルムというものが,ずいぶんと高価なものになったものだ。だがここは,富士フイルムがそれでもまだ,このくらいの価格でよくぞがんばってくださっている,と考えるべきだと思う。

次の週末ころからは,紅葉の見ごろ撮りごろになるはずだ。復活したE100で,どこへなにを撮りに行こうか。

*1 コダック プロフェッショナル エクタクローム及びエリートクロームフィルム 製造販売中止のお知らせ (コダック株式会社 コンシューマービジネス本部)
http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/corp/info/2012/info0301.shtml

*2 KODAK PROFESSIONAL EKTACHROME film E100 販売再開のお知らせ (Kodak Alaris Japan 株式会社)
https://www.kodakalaris.co.jp/about/press_release/pressrelease_20180926-1/

*3 コダックのカラーリバーサルフィルム「EKTACHROME」が6年ぶりに復活、いよいよ国内出荷開始へ 〜2018年10月26日(金)より販売開始〜 (コダック ジャパン/コダック アラリス ジャパン株式会社)
https://www.kodakalaris.co.jp/images/pressrelease_20181018.pdf


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