撮影日記


2018年06月24日(日) 天気:晴

魅力的なレンズがあれば時代は変わった?
シグマSA-7Nは使いやすいカメラだが…

シグマといえば,交換レンズのメーカーとしてよく知られてきた。最近になって,独特なFOVEONセンサを使ったディジタルカメラを発売しているという面でも知られるようになってきたが,フィルムカメラを発売していたことはあまり知られていない。
 はじめて,シグマの一眼レフカメラSIGMA SA-7Nを入手した(2018年6月20日の日記を参照)ので,さっそくその使い心地をたしかめてみよう。

SIGMA SA-7Nは,コンパクトで軽い一眼レフカメラである。小さすぎず軽すぎることもなく,手へのおさまりはとてもよいものに感じられる。また,カメラバッグなどではない,ふつうのトートバッグのようなものに,無造作に放りこんでおいても,負担には感じられない。大きさや重さが,じつに絶妙であると感じられる。

SIGMA SA-7Nは,マルチモードAE一眼レフカメラである。
 この当時のカメラとしては多機能なほうであるが,そのユーザインタフェースはシンプルなもので,カメラというものを使い慣れた人であれば,ほとんど迷うことなく使えるだろう。
 右手側のダイアルはシャッター速度を選択するもので,その周囲にAEモードを切りかえるレバーがある。このレバーでプログラムAE,絞り優先AE,シャッター速度優先AE,マニュアル露出の各モードを切りかえる。絞りは,右手側の電子ダイアルで選択する。わかりやすく,モードを切りかえながらでも,気軽に撮りすすめていくことができる。

SIGMA SA-7N, SIGMA AF 28-80mm F3.5-5.6 MACRO, FUJI 100

入手したカメラに付属していたレンズは,シグマの廉価版標準ズームレンズとしては一般的な,SIGMA AF 28-80mm F3.5-5.6 MACRO,「シグマ ミニズーム・マクロ」とよばれるものである。カメラメーカーの純正品ではない廉価版の標準ズームレンズということで,軽く見られがちであるように思う。しかし,このレンズについての悪い評判は,見かけないものである。むしろ,ふつうにしっかり写り,目立ったわかりやすい特徴がない。

SIGMA SA-7N, SIGMA AF 28-80mm F3.5-5.6 MACRO, FUJI 100

このレンズの特徴といえるのは,名称に含まれた「MACRO」機構だ。
 ズームレンズのマクロ機構というものは,せいぜい1/4倍程度のものも少なくないなかで,このレンズは1/2倍までの撮影に対応している。

SIGMA SA-7N, SIGMA AF 28-80mm F3.5-5.6 MACRO, FUJI 100

シグマの廉価版ズームレンズとしては,SIGMA AF 70-300mm F4-5.6 DL MACROというものもよく流通している(2018年3月18日の日記を参照)。これも1/2倍までの撮影に対応したレンズだが,ズーム位置を300mmにした状態で使うものなので,全長が長くなり扱いやすいものではない。また,あくまでも望遠ズームレンズなので,ある程度,撮影目的が決まっているときでなければ,使いにくい。
 それに対してSIGMA AF 28-80mm F3.5-5.6 MACROは標準ズームレンズなので,常用レンズとしてカメラにつけっぱなしにしておくこともでき,いざというときには1/2倍までの撮影ができるので,用途面では万能なレンズであるとみなすこともできる。短焦点側がじゅうぶんに広角レンズな28mmなので,いわゆるAPC-Sサイズのディジタル一眼レフカメラと組みあわせても,それなりに撮影を楽しめる(2017年9月30日の日記を参照)。

SIGMA SA-7N, SIGMA AF 28-80mm F3.5-5.6 MACRO, FUJI 100

このように見ると,SIGMA SA-7Nは中級機あるいはエントリークラスのカメラとしては,じつによくできたバランスのよい一眼レフカメラであることがわかる。しかも,標準的に付属しているレンズも,安価でありながらバランスのよいすぐれたものである。
 しかし,中古カメラ店で見かけることが少ないシリーズであり,とてもよく売れたようには見えない。
 その理由として考えられることは,カメラもレンズも優等生すぎて,特徴がないことがある。とくに,レンズのほうが問題だ。安価で優秀なレンズであるが,そのレンズをSIGMA SA-7Nで使う必要はない。同じレンズが別のマウントでも発売されているのだから,どうしてもそのレンズを使いたいなら,これまで使ってきたニコンなりキヤノンなりのカメラで使えばよいのである。
 もしも,魅力的なレンズがシグマSAマウント専用で供給されていたら,このカメラの歴史はずいぶんと違ったものになっていたかもしれない。

ここまでSIGMA SA-7Nを高く評価してきたが,残念な面もある。それは,ファインダーの品質だ。ファインダーの見えぐあいそのものは,中級機ないしエントリークラスのカメラとしてはふつうのものであるが,ペンタ部を構成するミラーに問題があるようで,視野がまっ赤になる傾向があるようだ。
 もし,シグマSAマウント専用の魅力的なレンズが供給されていたら,そのレンズを使いたいがファインダーがまっ赤で困ったという悲鳴が,あちらこちらで聞かれていたことだろう。
 そう,歴史は変わっていたはずである。


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