撮影日記


2018年06月20日(水) 天気:曇

シグマはフィルムカメラも発売していたのだよ

私は,日本カメラショー「カメラ総合カタログ」に掲載された,すべてのカメラを経験したい。せめて,すべてのメーカーのカメラを1機種ずつでよいから,経験したい。しかし,35o判一眼レフカメラに限定しても,それは容易ではない(2018年1月1日の日記を参照)。

一眼レフカメラを発売していたメーカーのなかには,カメラ業界から撤退してしまったところもあるし,会社そのものが消えてしまったところもある。そのようなメーカーのカメラは,中古カメラ店で,動作する状態のものを安価に見つけることが,年々むずかしくなっているように感じる。
 会社は存続していても,カメラ業界から撤退したようなメーカーとしては,たとえばコニカがある。コニカは,コンパクトカメラの分野では「ピッカリコニカ」(C35EF)や「ジャスピンコニカ」(C35AF)など,エポックメイキングな機種を市場に送り出すなど,大きな存在感を示していたが,一眼レフカメラの分野においては,キヤノンやニコンなどにくらべるとややマイナーな存在だった。もちろん,Konica Fといった縦走り金属幕シャッターを採用した初期のカメラなど,注目される機種も送り出している。しかし,どちらかといえばマニア層に注目されるものであり,一般の人に広く知れ渡った存在のようには思えない。それでもコニカの一眼レフカメラはそれなりの量が売れたようで,中古カメラ店でよく見かける機種もある。しかしそれらはおもに,シャッター速度優先AEを採用している。個人的にシャッター速度優先AEにはなじめないので,なかなか積極的に入手する気にはならず,最近になってようやく入手したものだ。
 会社そのものが消えてしまったメーカーとしては,たとえばペトリがある。ペトリは,コニカと並んで,古くからカメラの製造・発売に関わってきたメーカーであるが,すでに会社そのものが存在しない。ペトリが発売した一眼レフカメラは比較的安価だったこともあり,それなりの量が売れたようで,中古カメラ店で見かける機会も多い。しかし,故障しやすいという風評を裏付けるかのように,「故障品」「ジャンク品」のコーナーで見かけることが,少なくない。使える状態のものを安価に入手することは容易ではない状況であり,私はまだ入手できていない。

一方で,現在ディジタル一眼レフカメラを発売しているメーカーのなかにも,私がまだ1台もそのメーカーが発売する一眼レフカメラを入手していないところがあった。

それは,シグマだ。
 シグマは,カメラのメーカーというよりは,交換レンズのメーカーとしてよく知られている。各社の一眼レフカメラ用に,さまざまな交換レンズを比較的安価に提供してきた(1999年4月6日の日記を参照)。
 最近は交換レンズだけではなく,独特なFOVEONセンサを用いたディジタルカメラのほうから注目する人もある。しかし,シグマがカメラを発売したのは,FOVEONセンサ以降のことではない。比較的早い時期から「SIGMA」銘のカメラを発売していた。ただ,あまり目立たない存在だったということだ。
 たとえば,1976年ころには,SIGMA Mark IというM42マウントのカメラが発売されている。その後,1984年にはKマウントのカメラSIGMA sa-1が発売された。そして1993年には,独自のバヨネットマウント,シグマSAマウントを採用したSIGMA SA-300が発売されている。このたび入手したシグマの一眼レフカメラは,2002年に発売されたSIGMA SA-7Nである。これは,シグマが発売するフィルムカメラとしては最終モデルとなる。

カメラはコンパクトで軽く,動作も軽快である。右手側にAEモード(M,S,A,P)を切りかえるレバーとシャッター速度ダイアルがあり,左手側には電源スイッチを兼ねた連写モードやセルフタイマーなどを切りかえるダイアルがある。いたってシンプルで合理的で,一眼レフカメラを使ったことのある人ならまず迷わないだろう。じつによく考えられた,すぐれたユーザインタフェースだと思う。しかしファインダーの質は少々残念なようで,劣化して視野がまっ赤になってしまう傾向が目立つようだ。このたび入手したカメラも,視野が赤く,少々見にくいものになってしまっているのが残念である。
 さて,使い勝手の面が魅力的に感じる一方で,どうしてもこのカメラを使いたいと思わせる要素は,なにも感じられない。とくに,用意されているレンズに,魅力がない。いや,シグマが発売するレンズには,魅力的なものはいろいろある。入手したSIGMA SA-7Nに付属していた28-80mm F3.5-5.6 Macroは「ミニズームマクロ」とよばれ,最大1/2倍までの接写も可能な,まさに万能レンズだ。だが,シグマは交換レンズメーカーでもある。優れた製品は,当然ながら他社の一眼レフカメラ用としても,供給されることになる(2017年9月21日の日記を参照)。ニコンのカメラを買えば,ニコンのレンズもシグマのレンズも使えるが,シグマのカメラを買うと,シグマのレンズしか使えないのである。はじめて一眼レフカメラを買う人ならば問題ないかもしれないが,他社の一眼レフカメラのユーザを乗り換えさせるには,魅力が弱いのである。

シグマSAマウントの特徴的なこととして,マウントの内側だけでなく外側にも爪のあるダブルバヨネットマウントになっていることがあげられる。外側の爪を利用すると,かなりの大口径レンズが実現される可能性が出てくるので,他社の一眼レフカメラ用として供給することのない大口径単焦点レンズが発売されるのではないか?と期待する人もあったようだが,結局,外側の爪を利用するレンズは発売されなかったようだ。現在,シグマから発売されているディジタル一眼レフカメラはSAマウントを継承しているそうだが,いつのまにか外側の爪は廃止されている。
 一方,内側のマウントはKマウントに似ているともいわれるが,実際にはまったく異なるようで,Kマウントのレンズを装着することはできない。しかし,PENTAX純正のマウントアダプタは,たまたまうまくはまってくれるので,M42マウントのレンズを使うことはできなくなさそうであるが,フランジバック(マウント面とフィルム面の距離)が異なるので,レンズの機能をフルに利用することはできないことになる。そうまでして,このカメラでM42マウントのレンズを使う必要もなさそうに思える。

結局,独自のレンズを用意できず,ボディだけの魅力では勝負にならなかったものと思われる。
 ディジタルカメラの時代になって,FOVEONセンサを採用し,ボディ側に「他社にはない大きな魅力」を用意できるようになるまで,シグマの一眼レフカメラはマイナーな存在でしかなかった,ということになるのだろう。


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