撮影日記


2018年03月18日(日) 天気:晴れ

「ファンタジー」がミノルタαを救う!?

ピントをきちんとあわせ,適切な絞りとシャッター速度(露光時間)を使うようにすれば,きれいな写真を撮ることができる。これらはすべて使う人間が調整しなければならなかったが,カメラはしだいに自動化されていき,ピントも露出もカメラが自動的に決めてくれるようになった。自動化によって操作がシンプルになる一方で,さまざまな機能が付加されるようにもなる。たとえば,適正と思われる露出を中心に,アンダー気味にしたものとオーバー気味にしたものをつづけて撮影する機能(オートブラケティング)は,露出の決定に迷うようなときに便利である。
 このような付加機能は,カメラに内蔵されることもあれば,オプションとして用意されることもあった。
 ミノルタのオートフォーカス一眼レフカメラαシリーズには,インテリジェントカードシステムというオプションが用意されていた。機種名に「i」のつくカメラは,(一部の廉価な機種などを除いて)インテリジェントカードを装着することで,機能が追加されるようになっていた。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」(vol.93〜vol.118)を参照すれば,用意されていたインテリジェントカードの種類と対応機種は,つぎのようになっていたことがわかる。

ミノルタ インテリジェントカードシステム
フォトテクニックα-9xiα-707siα-7xiα-5xiα-8700iα-7700iα-5700i
こども   
ポートレート
スポーツ    
スポーツ2
クローズアップ
オートデプス(記念撮影)    
スペックアップα-9xiα-707siα-7xiα-5xiα-8700iα-7700iα-5700i
流し撮り    
オートブラケット     
フラッシュブラケット     
オートブラケット2 
ファンタジー     
ファンタジー2  
マルチスポット  
インターバル    
オートシフト     
オートシフト2  
データメモリー     
データメモリー2  
多重露光  
背景描写制御    
ハイライト・シャドウ  
A/Sモード      
カスタムα-9xiα-707siα-7xiα-5xiα-8700iα-7700iα-5700i
カスタム     
カスタムxi     
カスタムM    

このたび入手した3枚のインテリジェントカードは,いずれもスペックアップカードで,「オートブラケット2」「ファンタジー」と「A/Sモード」である(2018年3月13日の日記を参照)。このうちで,もっともおもしろそうなものは,「ファンタジー」だ。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」vol.93(1988年)では,「シャッターが開いている間にレンズを駆動させて,ソフト効果や露光間ズーミング的効果などのファンタジックな効果が得られます。」と説明されている。こういうものは多重露光を利用しておこなう表現手法である(2014年7月24日の日記を参照)が,それを自動的にやってくれるというのだ。ぜひとも,試してみたい。
 ファンタジーな被写体といえば,やはり花である。ちょうど,スイセンがよく咲いている。こういうときには,望遠系の接写用レンズを使いたい。接写に特化したタイプのレンズではないが,SIGMA AF 70-300mm F4-5.6 DL MACROなら1/2倍まで撮影できるので,ちょうどよい。

MINOLTA α-7xi, SIGMA AF 70-300mm F4-5.6 DL MACRO, Konica 100

被写体の周囲がややにじんだソフトフォーカス的な効果があらわれており,そのうえ,露光中にズーミングをおこなったような効果もあらわれている。効果の量を任意に変えることはできないようだが,シャッターレリーズボタンを押すだけでよいのだから,じつに便利なものだ。

MINOLTA α-7xi, SIGMA AF 28-80mm F3.5-5.6 MACRO, Konica 100

接写レベルではない被写体の場合は,ソフトフォーカス効果よりも,露光中にズーミングをおこなったような効果のほうが目立つようだ。「ファンタジー」カードのモードで撮影するときは,自動的に最小絞りに絞りこまれる。それに応じてシャッター速度がかなり遅くなり,明るい日中でも1/10秒程度の露光時間になる。三脚などでカメラを固定しなければ,このように大きくぶれてしまう。

それならば,被写体の動きにあわせてカメラを動かす,流し撮りに適しているだろうか。

MINOLTA α-7xi, SIGMA AF 28-80mm F3.5-5.6 MACRO, Konica 100

クセをつかむのがむずかしそうだが,流し撮りしながら,主となる被写体にピントをあわせたうえで,ピントずらしをおこなうなど,「ファンタジー」カードがなければとても無理である。
 「オートブラケット2」は,カメラにオートブラケティング機能を追加するものである。「A/Sモード」はMINOLTA α-5700i専用のカードで,プログラムAEモードとマニュアル露出モードしかないMINOLTA α-5700iに,絞り優先AEモードとシャッター速度優先AEモードを追加するものである。これらのカードは,どういう効果が得られるか,容易に想像がつくし,ミノルタのこれらのカメラを使おうという積極的な理由にはならない。
 しかし「ファンタジー」は,おもしろい。ミノルタのカメラを使う,積極的な理由になりうる。対応機種を所有しておられ,かつ,「ファンタジー」をまだ体験していない方は,今からでも遅くはない。「ファンタジー」を入手して,カメラ本体も見直してみよう。

なお,上の表は,日本カメラショー「カメラ総合カタログ」の掲載内容をそのまま引き写す形で作成した。そのため,発売の古いカードでは,よりあたらしい機種での対応が明記されていない場合がある。実際には「ファンタジー」を対応が明記されていないMINOLTA α-7xiで使用できているので,上位互換性がありそうだ。ただし,すべてのカードで上位互換性があることを保証するものではない。


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