撮影日記


2017年11月07日(水) 天気:くもり一時あめ

ISO 400の期限切れフィルムも実用できるか?

1984年に発売されたNikon FG-20は,ニコンの一眼レフカメラのなかでは,あまり目立たない存在である。
 当時のラインアップはかなり充実しており,まず,高級機種としてのNikon F3があった。
 中級機種としては,世界で初めての多分割測光機能を搭載したマルチモードAE機であるNikon FAがあり,そのほかに最高速1/4000秒のシャッターを搭載した機種として,絞り優先AEが使える電子制御式のNikon FE2と機械制御式でマニュアル露出専用のNikon New FM2があった。
 そのような強烈なアピールポイントをもった高級機種,中級機種にくらべると,絞り優先AEとマニュアル露出が使えるものの,高速側のシャッター速度が1/1000秒までのNikon FG-20は,地味な存在である。エントリーモデルとして,価格が抑えられ小型軽量というアピールポイントはあるものの,1979年に発売された絞り優先AE専用のNikon EMほどのインパクトはない。むしろ,1982年に発売されたニコンの一眼レフカメラではじめてプログラムAEを搭載したNikon FGの廉価版という位置づけにも見えることもあって,目立たない存在になってしまったものと考えられる。
 さらに,1985年にワインダーを内蔵したマルチモードAE機であるNikon F-301が発売され,つづいて1986年にはオートフォーカス一眼レフカメラであるNikon F-501AFが発売されたので,Nikon FG-20が注目されるべき期間は,ごく短いものに終わってしまった。

では,Nikon FG-20がなんの魅力もないカメラかといえば,それは全力で否定したい。
 まずなによりも,小さくて軽い。
 絞り優先AEが使えるので,スナップ的に撮り歩くにも快適だ。マニュアル露出も使えるので,露出にこだわりたいときにストレスを感じることもない。
 使い慣れてきた,マニュアルフォーカスのAiニッコールレンズを,なんの問題もなく利用できる。
 ファインダー内の露出計表示は,指針がシャッター速度を示すタイプのものなので,とてもわかりやすい。
 Ai NIKKOR 50mm F1.8Sのようなコンパクトなレンズと組みあわせれば,小型軽量という特長は,さらに魅力の強いものになる。

最近,まとまった数量の期限切れフィルムを入手した。そこに含まれていたフィルムのうち,使用期限が2005年の「コニカカラー100(業務用パック)」は,1段階落として感度ISO 50のフィルムとして使用することで,まだ実用的に使えそうなことがわかった(2017年11月4日の日記を参照)。こんどは,使用期限が2006年の「コニカカラー400(業務用パック)」の状態を確かめてみようと思う。今回は,Nikon FG-20を使ってみよう。

本来は感度ISO 400のフィルムであるが,経年劣化によって感度が低下している可能性が高いので,感度ISO 100相当で使用した。そして,「カメラのキタムラ」の店内で現像してもらった。2006年という使用期限を過ぎてから,すでに10年以上が経過したフィルムである。先日のフィルムにくらべて少しはあたらしいとはいえ,それでもある程度の劣化は覚悟しなければならない。
 だが,納品されたインデックスプリントを見たかぎりでは,大きな問題はなさそうである。

きちんとスキャンして,確認してみよう。

Nikon FG-20, Ai NIKKOR 50mm F1.8S, Konica 400

この車両は,日本ではじめての国産バスとされる車両を復元したものである。このバスは,横川から可部までの区間で運行され,ふだんは横川駅前に保管されている。イベント時にはこのように引き出され,公開される。
 日中の撮影だから,きれいに写って当然の条件である。大きな問題なく,まっとうな像が得られている。

Nikon FG-20, Ai NIKKOR 50mm F1.8S, Konica 400

イベントにあわせて,提灯がぶら下げられた。明るい提灯も,暗い木の幹も,どちらもじゅうぶんな色が得られている。

Nikon FG-20, Ai NIKKOR 50mm F1.8S, Konica 400

このような背が高い被写体を目にすると,それなりに後ろにさがって構図を整えたい。
 雨が降りそうな曇りの日に撮ったものでも,実用的な範囲の色が得られている。

Nikon FG-20, Ai NIKKOR 50mm F1.8S, Konica 400

原爆ドームの対岸は,さまざまなイベントに利用される。しかし,大潮の時期の満潮時には,ここまで水位があがってくる。
 木々の紅葉も,はじまっている。

使用期限を過ぎてから10年以上を経過したフィルムであるが,この結果を見るかぎりは,まだ実用的に使えそうである。
 本来は感度ISO 400のフィルムを,感度ISO 100のフィルムとして使用したことが,よい方向にはたらいたのであろうか。フジのフィルムにくらべて劣化しやすいという評価の目立つコニカのフィルムが,オーバー目に撮るくらいでじゅうぶんに使用できるというのは,よほど保管状態がよかったのであろうか。ともあれ,このようなフィルムをそれなりの本数いただけたことは,とてもありがたいことである。


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