撮影日記


2017年10月10日(火) 天気:はれ

「ぎょぎょっと20」で直線を意識する

3年前,10月10日は「魚眼レンズの日」であると,勝手に制定した(2014年10月1日の日記を参照)。それ以後,10月10日には,できるだけ魚眼レンズを使うようにしている。魚眼レンズにかぎらず超広角レンズというものは,無造作に使うとあいまいで散漫な絵しか得られない。使いこなしが難しいと感じられるから,入手してしばらくのうちはおもしろがってよく使っても,やがて飽きて使わなくなる。だから,1年に1回くらいは,無理にでも魚眼レンズを使うようにしなければならないのである。

ニコン「おもしろレンズ工房」に含まれる「ぎょぎょっと20」は,写る範囲は180°に大きく満たないが,お手軽に使える魚眼レンズの1つである。絞りはなく,つねに開放F8で使う。ピント調整もできず,撮影可能範囲は1mから無限遠ということになっている。

Kodak DCS Pro 14n, Nikon Amusement Lens 20mm F8 Fisheye

魚眼レンズにかぎらず超広角レンズは,できるだけ被写体に近づいて使いたい。たとえば,SIGMA AF 14mm F3.5の最短撮影距離は0.18mである。「ぎょぎょっと20」も,もう少し被写体に寄ることができれば,使える場面が大きく広がると思う。「ぎょぎょっと20」を含む「ニコンおもしろレンズ工房」の商品企画としては,徹底した低価格も重要だったようで,ピント調整機構を設けたり,もっと近接したときの描写性能をあげたりすることは,難しかったのだろう。

Kodak DCS Pro 14n, Nikon Amusement Lens 20mm F8 Fisheye

魚眼レンズでは,周辺の像が激しく歪曲して写る。歪曲が目立つと,撮っている本人にとっては楽しくても,撮った写真そのものはたいしておもしろくないことも多い。この写真は,鉄骨などもぐにゃりと曲げてしまうような「北斗の拳」のワンシーンを思い出しながら撮ったものだ。ただ,そういうイメージで撮るならば,このようなすっきり晴れた日ではなく,どんよりどよどよした空のときに撮るべきである。

Kodak DCS Pro 14n, Nikon Amusement Lens 20mm F8 Fisheye

散漫にならないようにするには,直線が目立つようにするのがよいと思う。画面中央に目立つ直線があれば,周囲がどんなに歪曲していても,中央に目が向くのではないだろうか。

Kodak DCS Pro 14n, Nikon Amusement Lens 20mm F8 Fisheye

また,水平を強く意識するのも1つの方法だろう。できるだけ中央付近で水平を保つようにすれば,向かいの川岸もほぼ水平に写る。ここで無造作に上を向いたり下を向いたりすると,川岸が大きく歪曲して,魚眼レンズの描写が嫌みになってしまう。

Kodak DCS Pro 14n, Nikon Amusement Lens 20mm F8 Fisheye

あるいは,あえて水平にはこだわらず,画面の中心がまっすぐに見えるように,傾けて撮ることになる。

Kodak DCS Pro 14n, Nikon Amusement Lens 20mm F8 Fisheye

お手軽に使える安価なレンズであるが,画面内に強い光源があっても,フレアやゴーストに悩まされにくいのは,「ぎょぎょっと20」の優秀さを物語っている。

Kodak DCS Pro 14n, Nikon Amusement Lens 20mm F8 Fisheye

いろいろと撮ってみたが,私としてはやはり,「寄れない」レンズであることに,どうしても少し不満が残るのであった。


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