撮影日記


2017年09月24日(日) 天気:くもり

「お前はもう終わっている」
OLYMPUS C-1400Lの日付は2016年まで

ディジタルカメラが一般に普及するきっかけになったのは,1995年に発売されたCASIO QV-10である。それから20年以上が経過し,当初は画質を語ることがナンセンスなレベルにすぎなかったディジタルカメラが,フィルムを使うカメラを一般の市場からほぼ駆逐してしまった。その大きな影響力を示したコンパクトディジタルカメラは,いま,スマートフォンに一般市場から駆逐されるかのように,出荷台数を激減させている。(2016年12月30日の日記を参照)。
 ディジタルカメラの進歩と減退は,じつに急激なものであった。その歴史は,一般に広まってからたかだか20年くらいのものにすぎないが,すでに初期のものは一般市場ではほとんど顧みられることはない。だからこそ,古くなったディジタルカメラを楽しむことも,1つの趣味のジャンルとしてとらえたいと考えている。初期のディジタルカメラは,とくに「クラデジ」として扱いたい。「クラデジ」は画質においても運用においても,いろいろと厳しい点がある。それらを乗りこえて,それなりに実用的な画像が得られれば,それも楽しいことではないだろうか。
 一昨年のこの時期は,カレンダーの関係で比較的大きな連休が成立し,「シルバーウィーク」ともよばれた。シルバーウィークには「敬老の日」も関係するので,この機会に古いディジタルカメラをあらためて楽しんでみようと考えたものである(2015年9月21日の日記を参照)。なお,「クラデジ」かそうでないかの境界線は,OLYMPUS C-1400Lより前か以後かくらいのところに引いておくと,ちょうどよいのではないかと感じている(2015年9月10日の日記を参照)。

そこで今年も「クラデジ」週間として,まずはOLYMPUS C-1400Lを使ってみようと考えた。
 しかし,いざ使おうとしたときに,2つの重大な問題点が顕在化した。

1つは,グリップ部の崩壊である。
 右手側のグリップ部に使われている素材が著しく劣化し,表面がベトつくとともに崩壊をはじめている。表面がベトついているだけであれば,アルコール等で拭き取ればよい。見た目は悪くなるものの,撮影の支障はなくなる。しかしながら,表面がベトつくとともに崩壊しているのだから,アルコールで拭き取ることもできない。いっそ,すべて取り去ってしまえばよいのかもしれないが,それでは見た目があまりにもかわいそうだ。
 ともあれ,今年はOLYMPUS C-1400Lの使用を見送ることにした。グリップ部の補修についてなにかよい方法を考えることにして,今年は動作確認だけをおこなうことにする。
 そのとき,もう1つの問題に気がついた。
 OLYMPUS C-1400Lは長く使わずにいたため,内部の時計が大きくずれている。電池をセットして,まずは,時計をあわせることにした。

ところが。

「年」の指定が,「16」までしかないのである。
 OLYMPUS C-1400Lの内部の時計は,初期化された状態では年が「97」になっている。ボタンを押すと,「99」のつぎは「00」そして「01」となり,「16」まで進めることができる。しかし,「16」のつぎは「97」に戻ってしまうのである。

「年」を西暦の4桁ではなく下2桁だけで扱っている点も,いかがなものかと思うところであるが,日付の設定が「16」までしか用意されていないことは少々驚きである。もっとも,この当時,このクラスのディジタルカメラが20年以上も使い続けられるとは,メーカーさんもまったく想定していなかったことであろう。たぶん,実用的にはじゅうぶんなものであったと思う。しかし,まだOLYMPUS C-1400Lは動くのである。電源も,単3型電池4本であるから心配ない。撮影も再生も問題なく動作しているが,撮影した画像にはその時計で管理される撮影日時の情報が付加される。時計がずれたままでは,気持ちよくは使えない。

古いディジタルカメラには,すべて同様の問題があるのだろうか?
 少なくとも,いまの私がおもに使うディジタルカメラだけは,確認しておくべきだ。
 まず,Kodak DCS 460。これは,時計を設定することができない。たぶん,パーソナルコンピュータにSCSI端子で接続して専用の管理ソフトウェアを利用すれば設定できるのかもしれないが,カメラ単体では時計が設定できない。だから,これはもう,しかたのないものとする。
 FUJI FinePix S2 Proは2050年まで,Kodak DCS Pro 14nは2035年まで設定できた。まあ,これらはじゅうぶんすぎる期間をカバーしてくれているとみなしてよいだろう。しかも,西暦の4桁で扱っている点も,好ましいことだ。
 ところが,FUJIX DS-505aは,その上をいっていた。年を下2桁だけで扱っているが,「00」から「99」まで設定できるのである。どうやら,FUJIX DS-505aこそが,いちばん長く使えるディジタル一眼レフカメラということになりそうだ(笑)。

このことを称えて,今年の「クラデジ」週間はFUJIX DS-505aに活躍してもらうことにする。

FUJIX DS-505a, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

ヒガンバナが群れているなかに,1つだけ白い花が咲いている。Kodak DCS Pro 14nでは望遠系のAF Micro-NIKKOR 105mm F2.8Sを使用した(2017年9月22日の日記を参照)が,FUJIX DS-505aでは標準系のAi Micro-NIKKOR 55mm F2.8Sを使ってみよう。Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8Sを使う場合,Kodak DCS Pro 14nでは露出計が動作しないが,FUJIX DS-505aでは露出計が動作するのである。
 しかし,望遠系のレンズではそこそこ密集して写せたヒガンバナも,標準形のレンズではやや散漫になる。ならば,ぐぐっと接近するしかない。

FUJIX DS-505a, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

風が弱かったので,撮りやすい。Micro-NIKKORならば,蕊の先端にもピントをあわせやすい。

白い花だけではなく,赤い花にも注目しよう。

ヒガンバナの赤は,とても目立つ色である。ヒガンバナはそれなりの数が群れて咲き,ヒガンバナが咲く場所では,その近くにもヒガンバナが群れている場所がある。だから,とても目立つ存在となる。花の盛りを過ぎて枯れはじめると,花の色はやや白っぽくあせてくる。それでもまだ,赤い色は目立っている。そのため,ヒガンバナはとても長い期間にわたって咲き続けているようなイメージがあるが,1つ1つの花に着目した場合,さほど長くは咲いていない。そして,群落全体が咲き誇っているように見えるころには,早くに咲きはじめた花はすでに枯れはじめている。枯れたヒガンバナにも,独特のわびしさというか絵になる要素はあると思うが,花を撮るときにはいちばん鮮やかであるころを撮りたいもの。そう考えると,ヒガンバナの撮りころな期間というものは,案外と短いものである。
 だから,ヒガンバナの群落全体を撮るよりも,1つ1つの花に注目したほうが,撮影を楽しめる期間が長くなる。ところが,ヒガンバナというものは,花弁や蕊が3D空間に大きく広がっており,なかなか撮りにくいものだ。
 今日は,ちょうどこれから咲きはじめるところの花にも注目してみよう。

FUJIX DS-505a, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

 一般的なヒガンバナとは異なる姿が楽しめそうである。

FUJIX DS-505a, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

そして,FUJIX DS-505aの描写のすなおさにも,あらためて感心する。決して派手ではなくそれでいてすっきりした発色なので,見る人に与えるインパクトは弱いかもしれないが,とても好感度の高い描写ではないだろうか。
 FUJIX DS-505aの撮像素子が130万画素ではなく,せめて300万画素くらいあれば,いまでもまだじゅうぶんに実用されていただのではないかと思うところだ。まあ,それ以外にも,大きさ重さや,メモリカードの相性など,運用するにあたっての問題点はいろいろとあるのだが。


← 前のページ もくじ 次のページ →