撮影日記


2017年08月13日(日) 天気:晴

CHINON CP9-AF 爆速AFの撮りごこち

CHINON CP9-AFは,チノンが発売した唯一のレンズ交換式35mm判オートフォーカス一眼レフカメラである。
 厳密には,測距センサを内蔵したオートフォーカスレンズと連動するための電気接点をもったCHINON CE-5もオートフォーカス一眼レフカメラとよびたくなる人もあるかもしれないが,オートフォーカス撮影用のレンズが1種類しか用意されていないこと,測距センサがレンズ側にあることなどから,CHINON CE-5はオートフォーカス一眼レフカメラとして扱わないものとする。

MINOLTA α-7000がオートフォーカス一眼レフカメラとして大ヒットしたのは,オートフォーカス撮影が可能な交換レンズが発売当初から,じゅうぶんに用意されたことが一因にあると考えられる。それ以前に発売された「オートフォーカス撮影が可能な一眼レフカメラ」では,オートフォーカス撮影が可能な交換レンズはごく少ない。はじめて市販されたオートフォーカス一眼レフカメラとされるPENTAX ME-F用ではわずかに標準ズームレンズが1本,それに続いたOLYMPUS OM30用も標準ズームレンズが1本,Nikon F3AFでは望遠レンズが2本(明るいマニュアルフォーカスレンズと組みあわせてオートフォーカス撮影が可能になるテレコンバータをあわせれば3本)といった程度である。これらのレンズではモーターが大きく張り出しているものもあり,システムとしてスマートではない。
 初期のオートフォーカス撮影が可能な一眼レフカメラ用の,オートフォーカス撮影用交換レンズでは,ピントリングを駆動するためのモーターはレンズ側に内蔵されていた。それに対してミノルタαのシステムでは,ピントリングを動かすモーターはボディ側に内蔵され,その動きは機械的にレンズ側へ伝達されていた。そのため交換レズは,それまでのマニュアルフォーカス用レンズと変わりない大きさにおさまるようになった。同様のしくみは,ミノルタの後にオートフォーカス一眼レフカメラのシステムを発売したニコン,オリンパス,京セラ,ペンタックスなどでも取り入れられた。
 キヤノンが発売したオートフォーカス一眼レフカメラであるEOSのシステムでは,ピントリングを駆動するためのモーターは,レンズ側に内蔵されていた。旧来のマニュアルフォーカスレンズとの互換性を完全に放棄したかわりに,絞りの駆動までふくめてすべて,電気的に制御するようになった。
 その後,2本の交換レンズ(標準ズームレンズと望遠ズームレンズ)とともに,CHINON CP9-AFが発売された。その交換レンズには,「レンズ内モーター駆動式」(日本カメラショー「カメラ総合カタログvol.93 (1988年9月)」)という説明が付されていた。この説明だけでは,「キヤノンEOSと同じようなレンズを用意したのか?」とも思えるが,マウントのことについてまったく説明が記載されていないので,それ以上のことはわからなかった。実物を手にしてようやく,ピントリングを駆動するためのモーターはレンズに内蔵されているが,マウントはKマウント(ペンタックスのAレンズ)に互換性があり,絞りの制御は機械的におこなわれるものであることが確認できた(2017年7月27日の日記を参照)。

ボディの機能やレンズの動作を確認できたので,試し撮りをおこなった。

CHINON CP9-AF, CHINON AF ZOOM LENS 28-70mm F3.5-4.5, ACROS

この時代の標準ズームレンズらしく,やや硬質な印象を受ける。このレンズそのものの存在は,レアで特異なものであるが,写りに関しては平凡なもので,可もなく不可もなくといったところ。

CHINON CP9-AF, CHINON AF ZOOM LENS 28-70mm F3.5-4.5, ACROS

夜景の描写も,とくに問題はない。
 CHINON CP9-AFの動作音は,けたたましい。シャッターも巻き上げも,そして,ピントリングの動作もけたたましい。静かな夜であれば周囲の人がみんな振り向くであろうが,ここでは神楽の大音響にかき消されたのか,だれも気がつかない(そもそも,みんな神楽の舞台に注目している)。むしろ,自分自身には,カメラがちゃんと動作していることがわかるので好都合である。

CHINON CP9-AF, CHINON AF ZOOM LENS 28-70mm F3.5-4.5, ACROS

CHINON AF ZOOM LENS 28-70mm F3.5-4.5には,マクロモードがある。ズームリングを70mmからさらに回せば,マクロモードとなる。ピントリングの動作がボディから機械的に制御されるタイプのシステムでは,このようなタイプのマクロモードではオートフォーカスが使えない場合があるが(AF Zoom-NIKKOR 28-85mm F3.5-4.5など),CHINON AF ZOOM LENS 28-70mm F3.5-4.5はピントリングを駆動するモーターがレンズ側に内蔵されているせいか,マクロモードにしてもオートフォーカス撮影が可能である。

CHINON CP9-AF, CHINON AF ZOOM LENS 28-70mm F3.5-4.5, ACROS

シャッターレリーズボタンを押してからピントリングが動作するまで,わずかだが「間」がある。また,ピントがうまくあわずに迷うこともある。当時のオートフォーカス一眼レフカメラでは新モデルの発売ごとに解消しつつあるものではあったが,同時期の他機種とくらべても,さほど劣るものではないように思われる。そして,ピントリングを駆動するモーターがレンズに内蔵されていることの効果なのか,ピントリングの動きそのものは,とても速い。まさに,爆速。ただし,動作時の音はやはり大きく,爆音である。
 キヤノンEOSが「快適・快速AF」(日本カメラショー「カメラ総合カタログvol.88 (1987年)」のCanon EOS650の説明文より)を実現したのであれば,チノンは「爆音・爆速AF」を実現したということでどうだろうか。
 CHINON CP9-AFは,爆音であることを除けばよくできたカメラだと思う。だが,わざわざ苦労して入手してまで使うメリットがあるのか?と問われれば,そこは回答に窮するが,爆音・爆速のオートフォーカスは,いちど体験しておくのも,おもしろいかと思う。


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