撮影日記


2017年07月16日(日) 天気:晴

マルシンカメラでソ連のズームレンズに魅せられた

世間では,昨日・今日・明日が三連休の人も多いと思うが,今日は仕事である。昨日も明日もお休みであるが,今日は仕事である。仕事が終わってから,予定通り友人と食事をともにすることにした。この日に間にあうように,「1997年の撮影日記」の改訂版と「FUJIX DS-505A/Kodak DCS 460の復活」の作成を急いでいたのだった(2017年7月16日の日記を参照)。
 さて,食事の前に,まずは復活した「マルシンカメラ」(2017年5月27日の日記を参照)を訪れた。訪れたのが少々遅くて18時を少し過ぎてしまい,ちょうどお店を閉めるところだったが,店主は快く迎え入れてくださった。
 ショーウィンドウを眺めていると,妙に存在感のあるズームレンズがあることに気がついた。
 レンズには,「2,8/37÷80」と刻まれている。なんの計算式か?いやこれは,「37mm〜80mm F2.8」ということだろう。とても魅力的なスペックだ。
 値札には,「ゼニット用」と書いてある。それならば,M42マウントか?いや,マウントはもっと小さく,複雑な形状をしている。友人が「これは,デッケルだね」という。なるほど,そうだ。そう聞けば,ベッサマチック用のZoomarに似たレンズであるようにも感じる。しかし,Zoomarとは雰囲気がまったく異なる。そして,商品の表記は,ベッサマチック用ではなく,レチナレフレックス用でもバルダマチック用でもなく,ゼニット用となっている。
 「どうぞ,ゆっくりご覧になってください。」と,店主がレンズをショーウィンドウから出してくださった。

※許可を得て撮影。
Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

このレンズは,「RUBIN-1」という名称のようだ。ずっしりと,重いレンズである。使用感はあるが,鏡胴の傷も少なく,レンズもクリアである。マウントは,たしかにデッケルマウントに見える。ただ,ピンの形を覚えていないので,ベッサマチック,レチナレフレックス,バルダマチックのどのマウントに互換性があるのかは,わからない。
 ピントリングもズームリングも,動きはスムースでほどよく重みがある。とても,状態がよいレンズだと思う。
 そして,Zoomarと似ているようで,まったく違った雰囲気である理由がわかった。Zoomarが「直進式ズーム」(ピントリングを前後させることで焦点距離を変化させる)であるのに対し,このRUBIN-1は「回転式ズーム」(ピントリングとは別に,焦点距離を変化させるためのリングがある)になっているのである。
 ZoomarとRUBIN-1はどちらが先に発売されたのか正確なことは知らないが,一般に,Zoomarは「世界ではじめて商品化されたライカ判カメラ用ズームレンズ」とされているので,たぶんZoomarが先だろう。そうであれば,RUBIN-1は,Zoomarを模倣したレンズである可能性もある。しかし,ズーミングの機構が異なるのだから,レンズ配置などは参考にしている可能性はあるものの,メカニズムをまるごと模倣したわけではないだろうと考えられる。
 惜しいことに,対応するボディが店頭には見あたらなかったので,ファインダー内での見え心地などは確認できない。
 つけられていた価格は,予定外の衝動買いをするには躊躇するものであるが,「よし,買うぞ」と腹を決めていたならば問題ない程度のものである。しかしながら,このレンズが使えるボディがない。ベッサマチックやインスタマチックレフレックス(レチナレフレックスの126カーリッジフィルム版のようなもの)ならば手元にあるが,これらで使えるかどうかの確証はない。したがって,購入は見送らざるを得ない。
 ともあれ,魅力的なレンズであった。

※許可を得て撮影。
Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

ソ連製と思われるフィルタが付属していることも,商品として魅力的なポイントだ。こういう小物のほうが,案外と入手しにくいものである。

店じまいをしているところに押しかけて,よいものも見せていただいた。そのまま帰るのも申し訳ないので,今日も少しでもお店の応援をしたく,ジャンクコーナーの商品を見た。残念ながら,今日は,連れて帰りたくなるようなカメラ,レンズを見つけられなかった。


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