撮影日記


2016年12月31日(土) 天気:晴

2016年にお迎えしたカメラたち 総集編
そして,何を撮ってきたか

ざっと数えてみたところ,今年は例年になく,たくさんの「日記」を書いてきたようだ。だからと言って,決してヒマだったわけではない。むしろ,忙しい。ただ,「日記」に書くネタには,豊富に恵まれたのである。まずは1月から2月にかけては,FUJIX DS-505Aを復活させ,そしてKodak DCS 460を復活させた件がある。2月後半には,スチルビデオカメラを復活させて,いちおう撮影をすることもできた。
 4月以降は,おもにFUJI FinePix S2 ProとKodak DCS 460で,いろいろなものを撮ってきた。とくにKodak DCS 460は本体がNion F90Xそのものだから,最近のAF NIKKORレンズだけでなく,古いさまざまなレンズを使うこともできるし,フィルムカメラ時代のフラッシュも活用できる。4月はサクラ,5月はサギゴケ,7月から8月はアサガオを撮ってきた。

アサガオを撮ったといっても,その花をすなおに撮ったわけではない。この夏に集中的におこなったことは,アサガオの花に水を浴びせ,そこについた水滴を拡大撮影することである。

Kodak DCS 460, UW-NIKKOR 28mm F3.5 (modified), BR-2

きっかけは,ニコノスの水中専用広角レンズ UW-NIKKOR 28mm F3.5である。ずっと以前に入手しながら,水中専用ということで使う機会のなかったレンズである。水中での補正と水圧の保護のために設けられた,最前面の凹レンズを撤去すれば陸上でも使えるようになるだろうかと試してみたが,世の中はそんなに甘いものではなく(2016年5月16日の日記を参照),陸上でのふつうの撮影に用いることはあきらめた。
 そのかわりに,リバースリングで逆づけし,拡大撮影に用いることにしたのである。実際にやってみると,ニコノス用レンズは鏡胴横のノブで絞りを選択するようになっているので,リバースリングで逆づけして使うときの絞り操作がおこないやすいというメリットがあることにも気がついた。期待したよりも具合がよく,拡大撮影のためだけに,ニコノス用の広角レンズを入手してもよいのではないか?と思ったのである。
 結局,アサガオの花が終わる時期まで,機会あるごとに,アサガオの花についた水滴を撮り続けたのであった。このこともあわせて,ひさしぶりにいわゆるマクロ撮影に集中することになったのである。

これまで使えなかったUW-NIKKOR 28mm F3.5のよい使い道が見つかったわけだが,これは本来の用途とは異なる使い方である。拡大撮影の結果が良好であればあるほど,ニコノス用の広角レンズが見せてくれる,ほんとうの世界というものが気になってくる。UW-NIKKORは水中での撮影に適した補正がされているために,陸上ではきちんとピントがあわない。では,水中から外を見れば,どう写るのだろうか?
 ニコノス用の超広角レンズUW-NIKKOR 20mm F2.8は,レンズからフィルタ枠までの距離が大きく,この空間に水を満たすことが容易にできそうに思えた。うまくできれば,水中から外を見た景色を簡単に撮ることができそうである。インターネットオークションをチェックすると,さっそく,UW-NIKKOR 20mm F2.8とのよい出会いがあった。フィルタ枠のゆがんだジャンク品だったが,むりやりステップアップリングを固定しそこにプロテクトフィルタを取りつけることで,前面に水を満たすことに成功した(2016年8月16日の日記を参照)。水を満たすことによる撮影結果は,期待通りのものである(2016年8月25日の日記を参照)。

秋になるると,紅葉にもマクロ撮影の対象を向けることになった。こんどはUW-NIKKOR 28mm F3.5による拡大撮影ではなく,いわゆるオールドレンズも利用したものである(2016年11月15日の日記を参照)。

Kodak DCS 460, Pancolar 50mm F2

Kodak DCS 460によるやや赤っぽい発色と,古いレンズ(Carl Zeiss Jena Pancolor 50mm F2)でむりやりに接写することによるボケ味が,妙に古めかしい印象を醸し出してくれる。
 古いレンズに頼らず,現代的なMicro-NIKKORで鮮やかな紅葉を撮るのも,おもしろい(2016年11月25日の日記を参照)。

FUJI FinePix S2 Pro, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

話は変わって,今年はひさしぶりに,富士フイルムからフィルムの新製品が発売された。インスタントカメラ「チェキ」用のモノクロフィルムである。以前,「いま,フィルムのラインアップを縮小しつつある富士フイルムさんにはもうしわけないのだが,私はモノクロのチェキフィルムを発売していただけないものかとひそかに期待している。」と,日記に書いたことがある(2015年6月9日の日記を参照)。この要望が受け取られたわけではないだろうが(笑),富士フイルムは「チェキ」のモノクロフィルムを発売してくれた。ただ私はこのフィルムを,強引にプレートカメラで使おうと考えているので,なかなか満足いく写真は撮れていない(2016年10月9日の日記を参照)。

Ernemann HEAG 0, Ernemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8, FUJI instax mini monochrome

今年は,Kodak DCS Pro 14nという,ライカ判サイズの撮像素子をもつディジタル一眼レフカメラを入手することができた。これは風景撮影などに積極的に使っていきたいわけだが,APS-Cサイズの撮像素子をもつディジタル一眼レフカメラではやりにくかった,超広角レンズでの撮影がおこないやすいのがうれしい(2016年11月5日の日記を参照)。

Kodak DCS Pro 14n, SIGMA AF 14mm F3.5

とくに,「ぎょぎょっと20」が活用できるのが楽しいじゃないか(2016年10月10日の日記を参照)。

Kodak DCS Pro 14n, Amusement Lens Fisheye-type 20mm F8

魚眼レンズというものは,あまりに非日常的な光景が写せるので,なにを撮っても絵になるような錯覚をおこす。実際にあとから見返すと,つまらない絵ばかりというのがほとんどだ。だが,結果はともあれ,撮っているときは,とても楽しいのである。それは本格的な魚眼レンズではない,ただの魚眼レンズ風レンズの「ぎょぎょっと20」でもあてはまる。
 そんな魚眼レンズを,中判カメラでも使えたら楽しいと思う。それをお手軽に楽しませてくれるのは,LomographyのDiana Lens+ Fisheye 20mmである。それを使うためのボディ,Lomography Diana+は,文字通りおもちゃのようなカメラであるが,実際に使ってみると案外とまっとうに写る。6cm×6cm判で円形魚眼レンズを楽しむには,これでも悪くないと思うところだ(2016年8月2日の日記を参照)。

Lomography Diana+, Diana Lens+ Fisheye 20mm, 400TMY-2

以上のように,今年もいろいろなカメラやレンズとの「よい出会い」があり,それを利用した撮影を楽しんできた。撮影に出かける頻度は激減しているが,以前から撮り続けている被写体も,なんとか撮り続けている。「日記」の本数と同様に,それなりに充実した写真・カメラライフだったと思う。
 さて,来年はどんなカメラやレンズとの出会いがあるか。そして,どんな写真を撮ることになるか。
 「ライカ判の撮像素子をもつディジタル一眼レフカメラ」を入手する,というここ数年来の目標を達成してしまったので,来年は「物欲」も衰えるのではないかと思っているのだが,さてどうなるか。


← 前のページ もくじ 次のページ →